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アクセサリ


※アクセサリの名前が『女主』の名前で変換されます。アクセサリの性別は、どちらでも

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プラントで生産した補助武装アイテムなどの控除納品を続けながら、ふと、「あれそう言えば」と考えていたところで、独房扉の前に立っていた俺のアクセサリが『ナマエ』と俺を呼んだ。

「なに?」
『生産計画局選定院より通達です。スクリーンをご覧ください』
「ご覧くださいってもう既に目の前にい」

パンパカパーン

≪ナマエさんおめでとうございます!≫

「うおぉっ!?」



毎度おなじみプロパ君が突然俺の目の前にどアップで登場してきたせいで無様にも後ろに倒れこんでしまった。
≪ナマエさん、ダサいですね≫
やかましいぞこの窓口係は相変わらず。
あと多分、今は生産局選定院からの通信があるから黙っているんだろうが、普段のアクセサリならよろけた俺を見下ろして鼻で笑うくらいのことはしていたと思う。最近、やけに要らない方向へアクセサリが人間臭くなって行っているような気がしてならないが、それよりもまずはプロパ君の用件を聞こう。









「…………えー…と」
『………』


通達された内容はかいつまんで言うと、俺は二級市民になったらしい。



刑期減刑の果てに何が待っているのかなんてあまり考えていなかったもんだから、いざプロパ君に≪やりましたね!記憶という重要な資源を喪失したあの日からのことを思うと涙で前が見えません。なーんてことはありませんが≫と言われて一方的に通信が切られても、何をどう思えばいいのかが分からない。

自由?

確認したいんだが、俺は本当にこれで自由の身になれたのか?



「なあアクセサリ」
『はい、なんでしょう』
「確認したいんだが、」
『はい、何なりとどうぞ』

「俺はもう咎人じゃなくなったのか?」


率直に訊ねると、アクセサリはいつものように表情を崩さないまま


『はいその通りです。おめでとうございます』


此方もまた、祝いの言葉をくれた。けどそれでもまだ感慨がない。
俺の頭上にいつも浮かんでいた7桁映す数字の羅列が消えていた。
ぼんやりと、ずっと身に着けていたヘッドホンの縁をなぞってみる。
その間も、アクセサリはずっと俺を見つめている。


「えー……じゃあ、なんだ。 もうお前は俺を監視しなくても良くなったってことか?」


一瞬、アクセサリの動きが止まったような気がした。けどすぐに無機質な返答が返ってくる。


『アクセサリサービス内、アクセサリ改造申請の項目からアクセサリ同行申請を解除すれば、今すぐにでも』
「ああ…そう言えばそんなの権利として解放してたっけな。 お前の同行を解除することとか考えたこともなかったな」
『………』


「……正直に言えよ、ナマエ  お前、これからも俺と一緒にいたいか?」
『……私の存在意義は、あなたの幸福希求を傍で見守り続けることです。私自身の存在意義を失うことは、私の本意ではありません』
「そうこなくっちゃな」


刑期が0年になるまで一緒にいたけど、アクセサリの素直じゃないところは全く変わっていない。
そのことに酷く安心感を抱いてしまう俺は、もうとっくの昔に"こいつ"に毒されてしまっているんだろう。





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