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「#幼馴染」のBL小説を読む
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ディノアス


グランザーク王への謁見が終わり、その日は王が用意してくれた城下町の宿屋で一泊することになった。
明日からは船を使い、西の大陸での宝珠探しがメインの目的になるらしい。

その晩、
ルナティエとゴルバンさんのオマケのような扱いでライル君やリュミール達について来た私は、酒だスイーツだと騒ぎ立てる主人(ルナティエ)とゴルバンさんの給仕になった気分で宿屋の食堂と部屋とを行き交いしていた。
未成年である私とライル君、花梨はともかく、ドワーフであるゴルバンさんやゴーレムのディノアスがよく飲むよく飲む。運んできた酒瓶もすぐに空になってしまう。
ルナティエはとにかくスイーツを注文し過ぎだ。いくら御代を払わなくても良いからって過剰摂取は良くない。

しかもこの一人と二体に加え、お酒を飲んですっかり出来上がっているリュミールは
「ナマエ、もっとおしゃけをもってきてくらはい〜」
とライルが見るとデレデレしてしまうような可愛らしい笑顔でこき使ってくる。
全くもう、このエルフのお嬢さんにお酒グイグイ行かせてるのは誰ですか! ルナティエか、なら仕方ないです


またカラッポになっていた酒瓶を取替えようと部屋を出て行こうとした時、背後からライル君の「あ、待って!」と言う声がかかる。

「ナマエ、今度は俺が酒瓶取って来るからテーブルにいなよ」
「え!いやいやいや、ライル君は座っててよ!お酒運ぶのとかゴルバンさん家で慣れてることだから」
「でもさっきからずっと動き回ってただろ?俺はいいから、ナマエも何か食べなよ。お腹減ってるんだろ?」
「う……」

さっきからずっと鳴りっ放しだった腹の虫を聞かれていたらしい。ライル君はやけにニコニコ顔で、「ほらほら!」と背中を押してくる。
そのまま私はライル君が座っていた席の隣の椅子に座らされた。
「ごゆっくり!」
やけに晴れやかな笑顔でライル君は食堂に行ってしまった。もしかしたらリュミールの赤ら顔を見れて、彼もテンションが上がっているのかも知れない。


それよりも、だ。
ライル君の隣の席に座らされた、と言うことはだって、じゃあ私の隣にいるのは………



『使いパシリにされて疲れただろうナマエ。何を食うんだ?オレがよそってやらんこともないぞ』



「い、いいいいいいやいやいやいや!大丈夫!ほんと!ディ、ディノアスがよそってくれなくてもじじじじ自分で!や、やれるから!ね!」

『……物凄い動揺っぷりだな』




あ あ も う ほ ん と う ど う し よ う !


私がディノアスの隣にいるって言う事実だけでこんなにドキドキするのに料理なんて食べれるだろうか!? 喉通る? いや絶対に無理よ!一目惚れだったんだから仕方ないでしょう!
初めて出会った地底湖でキラーナイトの攻撃から私を護ってくれたのがディノアスだったのが全ての始まりだったのだけど恋とかまともにしたことなかったししかも相手がゴーレムってほんと私なに考えてるのかな自分で自分がおそろし……


「はいそこニヤニヤしながらこっち見ない!!」
『ニヤニヤなんてしてないし』
「いいえしてました!貴女の構造上顔面には出ないけど今確かに私の顔見てニヤついてたでしょルナティエ!」
『滑稽な顔してんなぁって思っただけよ、このバカチン』
「失礼すぎる!」
『はい?アタシはアンタのご主人様よ。アンタこそ失礼な口利いてんじゃない?』
「うううぅぅ……」
「ルナティエ、ナマエをいじってやるのもその辺にしておいたらどうじゃ」
『うっさいジジイ』



ルナティエの関心がゴルバンさんに移ってくれてよかった。これ以上からかわれ続けてたらディノアスの前でどんなボロを出したか、想像するのも怖い。
大切な使命を帯びた任務の中で、オマケ扱いである私がこんな色恋ボケしてるなんて知れたらきっとディノアスの迷惑になるのは分かりきっている。 ちなみにライル君の恋模様は別枠だ。彼の分かり易過ぎるリュミールへの片思いは私でさえ察せれたのだから陰ながらの応援を続けたい………



『ナマエ』

「!? な、なにかなディノアス!」
『遠慮するな。食べたいものを言え。オレが取ってやる』
「ええええ!だ、大丈夫だってさっきも言ったと思うんだけど、」
『そう言うな。ほら、言え』
「あ、あああああのあのそのあの」















「……ディノアスは完全にナマエさんのことをからかっていますね」
『……そのようね』
「あれ、ルナティエ ナマエさんを取られてご機嫌ナナメですか?」
『は、そんなことないから。バカじゃないの?』





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