「出たんだって?」
そう。出たんだ。どうにかしろナマエ
「久留美さんは?いないのか?」
近所のママ友の会に出かけてる。家には僕と役立た…父さんしかいない
「なるほどな。分かった任せろ」
何とも頼もしいことに、一軒隣に住む幼馴染はそれだけ言うとスプレーとスリッパを片手に未だゴ…黒い悪魔がうろついている斉木家に突入して行った。
いつもなら、アラスカ方面にまでテレポートで逃げるのだが、今日は幸運にも幼馴染が丁度家に来ていた時に発生した。だから処遇は全てお前に任せる。僕に回すな
家の外で待つこと5分 中の様子は透けて見えるが、万が一ゴキ…黒い悪魔の姿を捉えてしまうと気色が悪いからずっと目を閉じていた。
時折「ぎゃああああナマエ君!そっち!そっち行ったよー!!」「おじさんはあんま動き回んないでくださ…」「わあああああああゴキこっち来たよおおおおお」「ちょ、おじさん邪魔…」と父さんが邪魔ばかりしているような声は聞こえて来るが、殺ったのか、殺ってないのかの情報が入って来ない。追いかけていると言うことはまだなのだろうが、「ぎゃあああああああああ」ちょ、父さんうるさい
暫く音沙汰がないな…と不審に思っていると、目の前の扉がゆっくりと開いた。
思わず身構えると出てきたのは「やったぜ」と言って笑う幼馴染とグッタグタに疲れている父親の姿。あんたは何もやってなかっただろう
「いやぁもう…助かったよナマエ君……ママが居ないときを狙って来るとか奴らも知能犯だよね…」
全くだ これだから虫は恐ろしい
「まぁこんぐらいチョロいっすよ。いつでも呼べよな、楠雄 (しかしおじさんは邪魔だった)」
だろうな
全くナマエは使える。
無償で働きかけてくると言う貴重な人材にも程がある。
そこが唯一の、この男と家族ぐるみの付き合いをしていることの利点だ
「じゃあな、楠雄! また明日の学校で」
………まあ、元から根が良い 珍しい人間なのだが
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