うちの副隊長はどうも前に出すぎる傾向がある。
確かに前衛を任される者として、副隊長と言う肩書きとして、皆よりも一歩半前に出る戦闘スタイルは当然のことだろう。
だがそれにしたって怪我をよくし過ぎだ。ステップで避けるよりもガードをした方が効率がいい場面でも無茶に突撃をすることが多い。多すぎる。
ミッション参加メンバーは選択制だが、余程の用事がない限りでは共に同行するようにしている。
参加するのが無理な場合でもシエルを連れて行くよう頼み、副隊長のことに関しては人一倍心配性なあいつなら上手くサポートしてくれる
だがそれでもやはり心配はしておくに越したことはない。いつもより多めの回復錠と回復弾を持参するようにし、戦闘中もなるべく気にかけるようにしないと。あの副隊長には、これぐらいで丁度良いんだ。
「……えっと、つまり "無茶やらかしてくれるな副隊長"、ってこと?」
「そう言うことだ」
「そう言うことです」
シエルと共に言葉を重ねれば、副隊長――ナマエは顔を渋らせながらも分かったと頷いた。
今はジュリウスがフライアに出ている為に、この極東支部でのブラッドの活躍が期待される中、様々な重責はあるだろうが それでお前が無茶をして怪我をしては元も子もないのだと、ちゃんと伝わっただろうか?
「…ナマエ、君が私たちを牽引してくれているのは、とても有り難いことだし頼もしいです。ですが、あまり自分の力を過信し過ぎないように…いつもちゃんと警戒を怠らないで」
「わ、分かったよシエル! ギルにも心配かけさせちゃってごめんね」
「いや、俺は別に…」
「あれー?副隊長、それにギルとシエル!何やってるのー?」
「次の任務の相談かー?ロミオさんも混ぜろよお」
「違いますロミオ 今は副隊長の戦闘スタイルについての相談を」
「あー!もう良い!分かったからシエル!ね!」
「はぁ 君がそう言うのなら…」
エントランスの下方から、ヒバリさんの声が飛んだ。
「ブラッドの皆さんに、フライアのジュリウスさんから連絡入っていますよー」
大方、内容はいつものように「そっちで変わったことはなかったか」と心配するものだろう。
あの隊長もやはり、大概な心配性である。
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