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届いた手紙をカエサルが左衛門佐に渡すだけ


「左衛門佐〜」
「なにぃ」

「大洗にいる幼馴染殿からのラッヴレターが届いたぞ」
「渡して!!!」


机に寝そべりながらぱくついていた饅頭を放り出しながら、大慌てでカエサルの手から手紙を奪い取った左衛門佐は息を荒くさせ、顔を真っ赤にさせて吠える。

「中身見てないでしょうねぇ!?」
「やれやれ、私がこれまでの一度だってそんなことをした事はないだろう?信用ないのかな〜わたし」
「これは私の!気持ちの問題!!」
「はいはい」


片手を振って、軽くあしらうような仕草を見せたカエサルはそのままキッチンへと消えて行く。そこでは、今日の夕食当番であるおりょうがうどんの麺を茹でている。

冷蔵庫が開く音が聞こえて来てから、左衛門佐はようやく息を落ち着かせ、元の位置に座りなおしながら、糊付けされた封筒を丁寧に開き始める。


「……… ………」
「おや それは彼の君からの恋文か?」
「後ろに立つなぁー!!」


左衛門佐の振り上げた拳をヒョイと軽く避けて、エルヴィンはニヤニヤと笑った。
手に持っていた携帯を開き、左衛門佐の座っていた向かいの位置に腰を下ろしたエルヴィンは携帯の画面に目をやりながら、まだ「怒るな」と、左衛門佐の赤い顔を指摘している。


いつものことだった。
左衛門佐の幼馴染である大洗町に住んでいる少年は、月に三回ほどのペースで手紙を書く。その書かれている内容は左衛門佐しか知らず、左衛門佐もまた他の三人に話して教えることはしない。だから三人は、それぞれが「あの手紙に書かれている内容はなにか」を勝手に想像し、満場の一致で「きっとあれはラブレターだ」と結論をつけていた。
とあればそれをからかいの種にしているのがカエサルとエルヴィン。

おりょうは熱々の麺の張ったザルを手に持ちながら、


「左衛門佐は今日も"恋文"であることを否定せんかったのう」
「まったくだよ。あれでは認めてるも同然じゃないか」

冷蔵庫から取り出したペットボトルの中のスポーツ飲料を喉に流し込みながら同意したカエサル。
恥ずかしがり、突っ掛かっては来るくせに、それを否定しないのは単にそこを指摘するほどの心的余裕がないのかなんなのか。


「ま、からかいも程ほどにしとくぜよカエサル。そろそろ、そっとしとくもんじゃ」
「いいだろう?いつか、左衛門佐の幼馴染の男とやらを実際にこの目で見るまでは、ちょっかい出したいし」
「そうゆうもんかねえ……」


とりあえず、今日の左衛門佐のうどんに一つ多くかき揚げを添えておこう。
さよりを使った、サクサクでふわふわのかき揚げだ。
これでカルシウムもついでに摂取してもらえれば幸いである。



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