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二戦目はアタシたちのチームの勝利で終わった。
判定を告げに来たジャッジ君の姿を見送って、仲間のガール、ボーイたちと一緒にハイタッチを交わして勝利の喜びを分かち合う。

ああ、楽しい。アタシはいつもバトル終了後にそう思う。
中でもパーキングエリアでのナワバリバトルは最高だ。高いところからリッターで相手を狙い撃ち。上から仲間たちの進路を確保して、援護して、ステージ上のありとあらゆるところに目を配る役割は大変だけど楽しい。

パーキングエリアから見える海からはベタっとした潮風が吹いて来る。バトル中は夢中になって気付かないけれど、ここは潮のにおいが濃い。
アタシたちのピンク色で染まったステージを見る。太陽の熱でインクがぜんぶ蒸発し切るまで…あと5分くらいかなぁ。
早く次のバトルがしたい。



「 なあ」
「どしたの?」


コンテナに腰をかけていたボーイの一人が、「あれ」と指さした方角にはフェンスに囲まれた2ブロック先の高台がある。


「あそこがどうかした?」
「いやさぁ、バルーンの裏から妙な影伸びてない?」
「かげ〜?」
「お前のリッターについてるスコープで見てくれよ。絶対なにかいるんだって」


ボーイは不気味そうだ。他の仲間たちも気になったのか後ろから脚を伸ばして高台を窺っている。
アタシは背中に背負ってたリッター3Kを構えてスコープを覗く。
ボーイが示していたバルーンをガッツリ捉える。けれどそこには何も見えて来なかったので、フラフラと左右に視線を動かしてみた。
すると、フェンスを組んで出来た足場に、動くものが映った。





「……… あ…」


「なんかいた!?」




いた


けど、


 何だろう あれ



「……なにかが足場に立ってる?」
「立ってる?」「なにが?」
「分かんない。なんだろう、服着てるみたいだけど、…背中向けてるのかな、ここからじゃ何なのか分かんない。」
「相手チームのイカとかじゃなくて?」
「違うと思う。大きい気がする」
「なーなー、もっと近付いてみようぜ!まだバトルまで時間あるんだし!」
「そうだね、そうしよ!」


そうと決まれば、"好奇心"がアタシたちを突き動かす。
一斉にコンテナの上から飛び降りる。とぷん、ぽちゃん、ぽちゃん。
さっきのバトルで塗っていたインクはまだ消えていない。
すいすいとインクの中を進み、どうする?下から行く?いや上から行こうよ!と合図を交わして、全員でバルーンがあるフェンス足場を目指す。通路からチラリと見えた黒い陰は、まだそこから動いていないみたいだった。

徐々にその陰に接近する。ココまで来るとさすがにアタシも仲間も慎重になってて、インクに潜ったままそろりそろりと近付いてみる。"陰"はこっちに気が付いていない。
いや、寧ろここまで接近すると、アタシが"陰"の正体に気付く方が早かった。



(……あれ、なんだ?)
(さぁ……新種のインクリングじゃないの?)




仲間たちがヒソヒソとアレコレ話し合ってるけど、
ちがう、
アレは、

"アタシ達"じゃない!


前に、タコツボバレーでアタリメ司令と一緒に読んだレポートに書かれてあった、



「に、"ニンゲン"――!!」




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