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建前と本音


ずっと付き合っていたミニスカートの恋人にフラれた。原因は

「あなたはアタシよりラプラスの方が好きなんでしょ!」

俺が彼女よりも手持ちポケモンのラプラスのことを愛しすぎていたかららしい。これは彼女の見立てであって、俺自身はあまりピンと来ていない。

確かにラプラスは大切だ。
親から貰った初めてのポケモンで、小さい頃からずっと一緒にいる。とても頼りにしているし、可愛がっているし、何処に行くにも連れて行くけど、恋人だった彼女と比較してどうこうと言うなら、俺は彼女のことも充分大切にしていた筈だ。


「分かんないよなぁ、ラプラス」


自宅に設置しているラプラス用巨大水槽の中で気持ち良さそうに漂っているラプラスにその話をすると、スススと縁まで近寄ってきて俺の顔に頬ずりしてくれた。かわいい。


彼女とはキスもしたいしそれ以上のこともしたいし付き合いが続いて波長が合えば結婚だってしたかった。それはラプラスとは出来ないことだ。いやキスはよくするけど。
だから彼女には彼女としか出来ないことがあるわけだし、「アタシよりラプラスの方が」と引き合いに出す必要もないはずなのに。


「……お どうしたラプラス 慰めてくれるのか?」


優しい、いい子だ。

確かに、結婚するなら人間がいいけど、死ぬまでずっと一緒にいたいのはラプラスかも知れない。そういうところを彼女に勘付かれてしまったんだろうか。


「………ラプラスは、ずっと俺と一緒にいたいか?」

「クゥ!」


にっこり笑顔で高く鳴く。短い手足を水面にぱしゃぱしゃと打ちながら、頬ずりを繰り返す甘えん坊。
柔らかい肌とその温かさに、ついつい俺も擦り寄ってしまう。


ああ


「好き。好きだラプラス」


やっぱりお前が一番だ、ラプラス




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