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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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堕ルシ+天ルシ


「………………」
「おや?随分な歓迎ですね、"私" もっと感情を曝け出して喜んでくれても構いませんが?」
「ならば死ね!!」
「お前のイビルノヴァなんて利きません。私は闇属性なのだから!」


「あーもうお前らやめろって」



今日の晩飯はシチューだ。
大鍋から分け合えば、初めて会った仲間との親睦も図りやすいだろうと言う俺のナイス名案だった筈なんだが、
卵を割って"そいつ"が姿を見せてから、どうもルシファーの機嫌がおかしい。あ、"だいぶ前からいたルシファー"だから"だルシ"で良いか。その だルシの機嫌が悪い。たびたび卑屈になったりネガティブタイムに入る奴だが、あそこまでの激怒はなかなか見たことがない。それくらい、新しくやってきたルシファーが嫌いなんだろうか?偶然にも同じ名前なんだから、仲良くすりゃあいいのに。


「無理だ!!」
「即答だな」
「ニンゲン、貴様理解しているのか!? この"私"と私は、表裏一体であるべき存在!それが、よもや、なにゆえ同じ場所に存在せねばならぬのだ!」
「おやおや…"私"は己の主たる方をニンゲンなどと言う失礼な呼び名で呼んでいるのか…愚劣な。主神から堕ちて尚も気高くあろうとする様には全く共感できないな」


新しく来た方のルシファー……天使の羽っぽいのがあるから天ルシでいいか。天ルシはだルシと違って人間のことを自分よりも下な存在とは思ってないようだな。しがない冒険者なのは違いないし、どう考えても神魔王であるルシファーの方が強いし偉いんだから、別に俺のことをニンゲンって呼ぼうが構いやしないのに。
と言うか、二人とも背中にでっけぇ羽が幾つも生えてるから広げられるとすごい邪魔だな。俺に刺さりそうなんだけど。


あ、シチューが出来たっぽい。味見でもしよう



「イビルノヴァが使えないお前に何が出来る!」
「フッ…熾天の座でお気楽に過ごしていた貴様など今の私の敵ではない」
「この下賤なる悪魔め!お前と同じ血が私にも通っているのかと思うと虫唾が走る!明けの明星に焼かれて消えろ!」
「明けの明星を放つ間の時間を与えると思っているのか!いい機会だ、ここで貴様を殺してやる!黒暗たる闇に抱かれて消えろ!」


「あーもう、やめろって言ってんだろお前ら!!」


「……」
「……」

「よし、仲良くしろよ」



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