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▼ この花は枯れない

「……それで?マリンフォードから遠路遥々、オネエチャンを頼って此処まで来たって?」
「………………」
「口では何だかんだ言っても、やっぱりクロコもオネエチャンのこと好きでいてくれたのね!嬉しいわ」
「………」
「誰がクソババァだテメェ塩素プールに沈めるわよ!!」




新世界のとある島で、そこそこ名の売れている女ビジネス社長の姉を頼って遠路遥々


何も問わずに付いてきたダズは話に付いて行けていないし、付いて来る気もないんだろうが
一応断っておくと、目の前にいる不遜な顔つきの50歳の"ババア"は間違いなくクロコダイルの実姉であった




「そう、住む所が無いのね。なら仕方ないわ。私の別荘を1つ貸してあげるから、体が本調子になるまで居たらいいわ、クロコ」
「…………」
「クロコってば"ありがとう"も言えないの?それともその口はただ葉巻を吸うだけのガラクタに成り下がってしまったのかしら? それは可哀想、すぐに腕のいい医者も手配してあげましょうね」
「………有り難い、姉上」
「そうね、それでイイのよクロコ」



50歳と言う年齢と衰えを感じさせない微笑みは、ナマエと言う女の素性を一切何も知らない人間が見ればほぅ…と溜息を吐くほどの価値があるだろう

しかし、クロコダイルは悪寒がした。こうして直接面と向かって会うことは実質20数年ぶりのことだったが、変わらない姉から滲み出る"ろくでもない女"のオーラには参ってしまう。




「後ろのあなたは、クロコの付き添い人さんかしら」
「…………」

「……クロコ?あなたのお友達、喋れないの?」
「…ダズ、返事をしておいた方がテメェの身の為だ」

「そう、ダズって言うの。貴方にもお部屋を1つあげましょうねぇ」
「……すまない」



素直でいいわねえ、可愛いわぁ。嘘だ。心の中ではそんなこと微塵も思っていないのだ
10の頃から裏社会で生きて来た姉が、ちょっとやそっとの事で他人のことをとやかく思う筈が無い



「…とにかく、傷が癒えるまで海軍から匿ってもらいてぇ」
「ええ、いいわよ。他でもない弟の頼みだもの。オネエチャン、張り切ってあなた達を匿うわよ〜」



「でも働かざる者食うべからず。クロコ?あなたが私の会社にいる間は、机周りで出来る仕事は手伝ってもらいますからね」
「……あのな姉上、何でおれがテメェの会社の事に首突っ込まなけりゃならねぇ、」
「クロコ、ご飯食べたくないの?」
「…………分かった」
「そうよね。 そっちのダズ君も、筋肉男っぽいけど書類に目を通すぐらいは出来るでしょう?」
「えぇ………」
「良かった!最近わたし、新しい島に会社建設中で目まぐるしい忙しさだったから助っ人が2人も現れて嬉しいし助かっちゃうな〜。
じゃあクロコの為にも今夜の料理は豪勢にしてってシェフに伝えておきますからね!」



羽織っていたコートを翻し、机の縁に置かれていた電伝虫を取って厨房に連絡を入れる姉を見ながら、クロコダイルはやっと息を吐ける、とばかりに腰掛けていた1人掛けのソファの上で脱力した

後ろに控えていたダズも、やっと自主的に口を開く



「………アンタの姉は、変わっているな」
「…そうかァ?ただのババアだろ」



「クロコ?――ちょっと、おいで?」


「………………………はい」
「……」




――おっかない女だ
ダズはそう思い、す…っとクロコダイルから距離を取った




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▼クロコダイルでドS女主にいじめ(?)られる
リクエストありがとうございました!




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