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「#幼馴染」のBL小説を読む
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▼ ハンプティ・ダンプティ


「カエルさわった手で わたしにさわんないでよ!」
「…!」











「過去から何も進歩してないよねトラファルガー君って お願いだから他人の心臓触った手で私に触らないでもらえる?他人の血液に当たるとかぶれとか蕁麻疹出るかもしれないし最悪病原菌貰うかもしれないから。もしそれで私が病原菌を船に持って帰っちゃうと船長たちに迷惑かかるでしょ、分かる?」
「……分かる」



ナマエの船長愛は充分わかってる。そして血液嫌いなところも分かってる

やんちゃしたい盛りだったローは、ウシガエルやヒキガエルやアマガエルを手当たり次第に捕まえて、メスで腸引き裂いてから「ナマエちゃん、これ見てー!」と幼馴染のナマエに見せに行くという悪童だった。「ひっ、やだやだやだ!こっち来ないでよ!」と泣いて逃げる幼馴染が『楽しんでくれてる』なんて勘違いしたものだから、楽しくなってその後何ヶ月も追い回しているとこっ酷い否定と拒絶の言葉をもらったのでした。
当たり前だ。今になるとよく理解できる。あんなガキ、もし目の前にいれば今のローなら絞め殺している。


純情可憐だった幼馴染はその日からすっかり人が変わり、ローを見つけると「うげぇ」と言う表情で後ずさりつつ逃げ出す。幼馴染に嫌われ、傷心し反省したローが謝罪に行こうとした。しかし更にローに追撃を食らわしたのはナマエが海賊船に乗り込んで行ったことだ
まだ海の右も左も分からないただの少女をなぜ海賊船の船長が引き入れたのかは分からないが、ともかくそのせいでローは長らく幼馴染と会えずじまいだった


そして数年の後、お互い海賊同士再会したローとナマエは、やはりギスギスしていた

今日は3回目の再会 新世界を漂っていたナマエの乗る船にハートの船が接弦した





「聞いたわよトラファルガー君 きみ、七武海入りを目指してるんだって?」
「ああ」
「だから心臓をそんなに……言っておくけど、うちの船長の心臓を狙おうものなら私が許さないわ。 君の目の前でわたし、全力で嘔吐するから」
「分かったからやめろ、想像させるな…!」

ナマエのそんな姿なんて見たくない、とばかりにローは顔を顰める

「想像したの?どう?えげつないでしょ?」
「…ああ」
「それと似たような体験をね、私幼少の頃に君からされたからね。はらわた引き裂かれて死んだカエルを持っていたいけな少女追い掛け回すとかどこの悪鬼だったの君。それ以来カエルを見るだけで君の顔を思い出す始末だしトラウマ膨張のせいで人の断面図とか見るだけで貧血になるしでホント碌なことがなかった……」
「好きな子ほどイジめたくなるって言うアレだ」
「どの口がそんなこと言うのかしら、ちゃんちゃら可笑しいから黙ってるか言葉を選んでもらえる?」
「言葉選ぶ」
「じゃあチョイスに気をつけて」



久しぶりに旧友と会うんだろ?ゆっくりしてこいよ!
と、笑顔で送り出してくれた船長の言葉を守る為にナマエは通されたハートの船の客室でゆっくりまったりしているだけであって、時間がもう許されたのなら今すぐにでも自分の船に帰りたくてたまらない。そんな気持ちをわざわざローに伝えることはないか、と一抹の優しさを見せる為に燻っている思いをコーヒーごと飲み込んだ



「…正直、今でも信じられねぇけどな ナマエが海賊やってるなんて」
「私の方がきみより少しだけ先輩よ まあ今は君の方が上だけどね。…七武海なんて、よくやるわね」
「ナマエもおれのとこ来いよ」
「言葉は選んでって言ったでしょ。行かない。トラファルガー君みたいに躍進続けてる強豪の海賊団に女なんていたら邪魔なの、分かるから」
「それは安易に自分とこの海賊団が小物って言ってんのか?」
「自分の器の大きさにあったことしかやらない、船長のああ言うところが私、大好きだから」
「……妬いてもいいか」
「応えるつもりないから、妬くだけ無駄かもね?」
「…分かった、勝手に妬いてる」
「どーぞ」


ガチャン、音を立ててコーヒーカップをテーブルに置く


「話は終わった?そろそろ帰りたいんだけど」
「じゃあ最後に1つ」
「なに?」
「――死んだカエル持って追い掛け回して悪かった」
「……遅いんだよね君、いつもいつも」



遅いおそい、ぜんぶ遅いよトラファルガー君





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odai::207β
▼毒舌女主とかまってほしいロー
リクエストありがとうございました!




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