8万企画小説 | ナノ
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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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▼ 見込みゼロから始まる恋物語


*同僚主







昨日スモーカーにラリアットをかまされた首筋がまだ腫れている。
スモーカーの鍛え上げられた腕はれっきとした凶器だ。勢いがついていたのも相俟ってその威力はハンパではなかった。まさか擦れ違い様に好きな人から奇襲を受けるなんて思ってもみなかったし、よもや首を狙われるとも思ってなかったから防御なんて取れなかった

ギプス…なんて大袈裟なものではないが、真白い包帯がまだ新しい首元を見ても、スモーカーは不遜な態度で葉巻を吹かし続けている


――――


「こぉらスモーカー!そんな可愛い顔してむくれたって逃がしゃしないぞ!どうしてオレはラリアットを喰らわねばならなかったのか、ぶっちゃけネタは上がってるんだがお前の口から聞きたいので教えなさい!でなけりゃハグすっぞ!」
「……むしゃくしゃしてたからやった」
「そんな青少年みたいな言い訳が聞きたいんじゃないやい…!」



オレが知り合いの女海兵の子と話をしてるのを見たスモーカーが嫉妬したから――
と言うのは同僚から教えてもらった眉唾モノのネタだったが、
これを信じきって何が悪い!夢ぐらい見させろ!
長年の片思いがついに実を結んだかと、自惚れるぐらい許せよ神様この野郎!





内心でナマエが神に喧嘩を売っていたとき、スモーカーは部屋に入って来たときよりも幾分バツの悪そうな顔をしていた。
ナマエの言った「ネタは上がっている」の言葉にビクついたからだ

まさか、愚かにもナマエと名前も知らない女海兵とが談笑している姿を見て嫉妬した自分のことが割れてやしないかと、ナマエの口から出てくるのを恐れていた
自分でも考えなしな行動を取ってしまったと深く反省しているんだ。そこをナマエに指摘されようものなら、羞恥で死ねるかもしれない
散々ナマエからのアプローチを無碍にし続けてきた自分が、嫉妬をして怪我をさせてしまったなんて、言うが最悪だろう



「………スモーカーが嫉妬してやった、と言う説が浮上してるんだがこれは、」
「あああああああああああ!!!」
「うおおおおおおおなにごとだ!!?」




知 ら れ て い た !

「どうしたスモーカーどうした!腹痛か!?眠いのか!?」
「な、なななんでもねぇ!」
「その動揺っぷり…! まさか本当にお前のしっ」
「とではねぇ断じて!!」
「…なんだ、やっぱり違ったかぁ」
「…っ、い、や、違わ…」
「やっぱりそう!?」
「違った!!!」



一体どっちが本当なんだ!
噂よりスモーカー本人の言葉を信じるつもりだが、出来るならスモーカーの口から本当の噂だと言ってもらえたらいいのにと思ってしまうオレがいけないんだろうか、そうなんだろうか?



「……首のことは、悪かったと思ってる」
「う、うん」
「でもな、おれがその…し、嫉妬してやったとか、んなことは………」
「……………」
「な………、」
「……」
「…い、ことも………」
「もういいぞスモーカーよぉく分かったから!言わんでよろしい!」
「―なっ!?離れろバカ!」



何か伝えたがってるようだったがそれよりも先にスモーカーのいじらしさにオレの方が参ったのでぎゅうぎゅうに抱きしめてしまった
そしてココで疑問なのだが、オレはスモーカーを抱きしめられている
逃げられて、いない
いつもならとっくに逃げ出してる頃だと言うのに、それもない



「……まあいいか」
「な、な、何が!」

「スモーカー、好きだ!」
「ぐ…っ!」






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odai::レイラの初恋
▼ネタ@もしかして:心境変化? 後日 逃げないスモーカーと甘やかす男主/もちこさん
リクエストありがとうございました!





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