8万企画小説 | ナノ
×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -


▼ 紅色に黄金


ドレスローザにあるドフラミンゴの巨大な邸宅では、人間の身体を遥かに凌ぐ体躯をした
動物が飼われている。


体長は軽く5mを越え、顔は龍、体は鹿のそれ、牛と同一の尾を持ち、鬣は色鮮やかな五色だが体毛は黄金色に覆われている。ギョロリと回る目に、額の上からは真白い一角が生えたこの動物を人は『麒麟』と呼んだ







「ーーナマエ」
『…もう餌の時間かな?』
「フッフッフ、空き時間が出来たから会いに来ただけだ」



なんだ。ヨロリと体を起こしたが、餌はないのだと分かると"ナマエ"と呼ばれた麒麟はまたすぐに横たわった。「呑気なご身分だなぁ?」四六時中忙しなくしているドフラミンゴにとっては、麒麟のこのだらけっぷりが羨ましいのかもしれない。丸い目を己の飼い主に向けた麒麟は、やれやれと呆れた



『…どうもその名で呼ばれるのが、まだ慣れない』
「飼ったペットには、名前を付けると愛着が湧くって言うだろぉ?」
『ペット……不可解な響きだな、まったく』



新世界の島で棲息していたところをドフラミンゴの傘下の者に連れられ飼われることとなった麒麟のことを、ドフラミンゴはいたく気に入っていた。今まで手を出して来たペットたちの中で、一番派手なナリをしているからだ。五色に輝く鬣は美しいし、黄金色の体は見ているだけで豪奢な気分が高まる。
元来麒麟と言う生物は穏やかな性格をしたものばかりで、殺生を好まない。ドレスローザに連れて来られる際にも暴れることなく大人しく捕まっていた。そう言う部分もドフラミンゴは好ましく思っていた。正しく愛玩動物として丁度いい存在だ



「おれが居ない間、ずーっと寝てたのか?」
『主がわたしを鎖で繋いでおるからな。身動きも取れない』
「窮屈かぁ? 出してやらねぇがな!」
『無理に出ようとすれば、主はわたしをどうするのかな』
「首を一切りだな」
『おぉ怖いこわい。主の能力にかかれば、わたしの首なんぞポトリと落とされてしまうよ』
「フッフッフ、いい子だ」


ナマエの鬣に手を寄せたドフラミンゴは、そのまま顔をナマエの毛で覆われた背中に埋めた。擽ったいのだが、と身を捩る麒麟に尚も顔を寄せたまま、ドフラミンゴは笑った



「ナマエのここは気持ちがいいな」
『そうかい 自分では触れないから知らなかったよ』
「好きだぜぇ、フフッ」
『…そう、かい』
「ナマエの寿命が尽きて死んじまった時はこの毛を剥いでコートに仕立ててやるか!」
『それは構わないのだが、我々は1000年を生きる。人のドフラミンゴでは、無理があると思う』
「1000年〜?フッフッフ、長いな!頑張って生きねぇとなァ!」
『主、生きてみせるつもりか。……しかし、ドフラミンゴならば出来そうだな』



空き時間が出来たからーーそれがドフラミンゴの建前であることは知れている。人の心の機敏を読むことなど容易いこと。
物寂しい気分をペット…で癒されたいと思っているらしいこの哀れな人間にすり寄るぐらいならしてやってもいいだろう

何故ならナマエは、この男の"ペット"なのだから



寄せられていたドフラミンゴの身体に、ナマエは己の顔を摺り寄せた。ぐりぐりと強目に押し付けるように。ドフラミンゴはそれを望む

麒麟の珍しい甘えた行動にすぐに気を良くしたドフラミンゴは「今日の餌はとびきりの肉にしてやるよ」と奮発を約束した。すぐにヴェルゴに連絡を入れて手配させることにしようと思う。



「大人しくしてろよぉ、ナマエ」
『そうするしかないのだ』
「違いねぇな!」



こんなに他人の目に触れさせたくないペットは、お前が初めてだよナマエ!



------------------------
▼人外男主×ロー or人外男主×ドフラミンゴ 甘(麒麟、もしくは伝説の生き物)
リクエストありがとうございました!



prev / next