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「#幼馴染」のBL小説を読む
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▼ きっと幸せに死ねる

あの方が、本当に自分一人のみの力しか信じずに、野望を果たそうと考えていたのなら
BWなんて他者の集まりを作ることはなかったのだ。自分が動かせる手駒を増やしたかったのだろうか。手間を削りたかっただろうか。だがそれでもあの方には、誰かが要る。そう思っている。そしてその"誰か"の枠組みに、自分が入れたらとばかり考える。しかもそれが特別な枠組みであってほしい。あの方の隣にいてもいいのは自分だけがいい。自分だけを必要としてほしい。


古代文字は読めないけれど、それでも自分がいい。
身体を刃物に変えれはしないけど、それでも自分がいい。
顔を他人に変えることはできないけど、それでも自分がいい。
世界を砂にすることはできないけど、それはあの方がやることだ


極めて自己中心的な番犬のこころ













"新世界"の"とある島"、繁華街を抜けた寂れた裏通り


ボロの身なりを纏った背の高い男は、
キョロキョロと辺りを窺い、
その視線の先に目的の人物を見つけ駆け寄った



「クロコダイルさん、クロコダイルさん、クロコダイルさん、よかった、探しました、見つけました」
「…………ナマエ 何でテメェがここに…」





「クロコダイルさんがインペルダウンに投獄されたと聞いていてもたってもいられず海軍基地に乗り込んで480人殺したところで数えるのを止めて捕まるのを待ちました護送されていたときにレベル6に入れろと言いましたそして入れられることになったのですがその時にクロコダイルさんを投獄させた張本人であるモンキー・D・ルフィを発見しましたすぐに八つ裂きにしようと思いましたがポートガス・D・エースを迎えに行っているとのことでしたのでならばそれに帯同してクロコダイルさんを迎えに行こうと思い一時的に協力することにしましたしかしその途中でマゼランと出くわしてしまいモンキー・D・ルフィたちと別れる形になりましたその際に"右側の首が"ヒドラを浴びて両目を潰しましたが支障はありませんでしたのでマゼランの肩を噛み千切ってそこを脱しましたが他の看守たちと出くわし交戦しましたオレがレベル6についた時にもう貴方の姿は無く居所を知る為に連絡室に向かいましたそこでNo.2とマゼランが交戦していましたので知ってるのではないかと思い加勢しましたマリンフォードにいらっしゃると言うことは掴んだのですがオレが駆けつけた時にはお姿がなかったので停泊していた海軍船を一隻乗っ取って追いかけて来ました」


「…?マリンフォードからはどうやったんだ」
「匂いを頼りに」
「……そうか」



一息で道すがらの出来事を話し終えた男は息を切らすことなく、ようやく見つけた己の主の姿に歓喜を表し、しかし纏わりつかれることを厭う主を思いその周りでジタバタと忙しなくしている。窮屈そうにズボンからはみ出ている尻尾が左右に動いているせいで、その喜びは主に筒抜けだった

えらく悲惨な道中を辿ってきたらしい。男を労うために、クロコダイルは「しゃがめ」と命令して、近付いてきた頭を労わるように撫でた。思わぬご褒美に男はまた一段とパタパタと尻尾を揺らす



そこでようやく、事態に付いて来れていなかった呆けたままのダズに視線を向けた



「…テメェも顔を見たことくらいあるだろう」
「あ、あぁ…」
「………No.1」



ジロリと睨まれ、ダズも眼を細くする。
この男、名は確か――ナマエと言った。
詳しくは知らないが、クロコダイルが連れ出した元・奴隷
結構な懸賞金の掛けられた、



「…能力者、らしいな」
「………」



ナマエは何も答えない。
奴隷時代に従属された忌まわしい記憶のせいで、クロコダイル以外の人間には心を許さないのだと聞いていたが、よもやここまで愛想がないとは。ダズは己を棚上げするつもりはないが、不躾に視線を向けられるのは快くない



「コイツは動物系の能力者だ」
「動物系…?」
「…ナマエ、面倒だからテメェが話せ。 おれに付いてくるつもりならな」
「はい。 ――オレはイヌイヌの実:モデル『三首狗』です。幻獣種、らしいですが詳しくは知りません」



主に促され素直にダズの方を向いたナマエが答えた。
――三首狗…ケルベロス
そこでダズは、先ほどのナマエの言葉の途中で沸いた疑問を1つ解消できた。
『右側の首の両目を潰された』それは三つの首の1つが、と言うことだろう。

常時人獣型を取っているこのナマエの姿からは想像出来ないような、とても巨大で凶暴な外見をしているらしい。

いつか見ることになるだろうか。ナマエの眼の奥のどす黒い色を見たダズは、生唾を飲み込んだ




「ともかくクロコダイルさんがご無事で良かったです。マリンフォードで追いつけなかった時はどうしようかと…」

「よくもまぁ従順に監獄まで追いかけて来たもんだな?見上げた忠誠心だ」

「当然です。10年前にこの命助けて貰ってから、オレの命はクロコダイルさんのものですから」

「……テメェの命なんざ要らねェよ。 精々これからも、しっかりおれの手足になる事だな」

「はい。――もう二度と海楼石の首輪をされない限り、ずっと」




本当に嬉しそうに、クロコダイルに向けて顔を綻ばせているナマエは、
先ほどまでダズに睨みを利かせていた人物と同一とは思えないほどに



そして、ナマエの笑顔を見て、僅かに眼を細めたクロコダイルがいた








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odai::臍
▼クロコダイルに救われた元奴隷設定で最後まで犬みたいに忠実な主の主従愛/梅一さん
リクエストありがとうございました!


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