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「#幼馴染」のBL小説を読む
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▼ 呼応する運命だと決めた



「予定より早くに着いたが、これも計算済みか?」
「…ゆっくりシャボンディを見て回りたいと言ってただろう?」
「なんだ、覚えててくれたのかドレーク」



海軍時代に何度も足を運んだことはあったが、観光したことないよなそう言えば、と数日前に漏らしていたナマエの言葉をドレークはしっかり覚えていた。
物見遊山で来たというわけではなかったが、余裕を持って島に上陸し、余った時間で見物して行っても然したる問題はないと判断した為で、べつに



「大量の蔵書購入を許したつもりではないから、間違えないように」
「お、おーいえす」



以前に襲われたドレークの尻尾の圧迫を思い出して、ナマエはガタブルと身体を震わせた。
ドレークは部下達の躾にも手加減を知らない。尻尾で羽交い絞めにされるくらいなら、メイスで殴打される方がいいです、と船長補佐のナマエに泣きついて来るクルー達も少なくはないのだ。
いずれそのクセをどうにかしろと注意しようとは思っているが、なかなか言い出せずにいる。ナマエは、幼馴染のこの男の際立った失態以外のことを注意するのが、どうも苦手であった。弱味だとも言える




「今この島に、お前以外の億賞金がわんさか集まってるんだってな?」
「そうらしい」
「オレの額は今で9200万だからなぁ…ラインぎりぎり届かなかったかー」
「出くわさないよう充分気をつけるんだぞ?」
「出くわしたら喧嘩吹っかけてもいいのか?」
「ダメだ」




腕を組んで睨むドレークには逆らっても無駄
「了解」と返事をして、改めてナマエは辺りに出ている露店を眺めて回った。
前に訪れた時から思ってはいたが、売られている食べ物がやけに美味しそうである。これは蔵書に回そうと思っていた金を少しコッチに回してもいいんじゃないか?と、後ろを連れ立って歩いていた金番のクルーに声をかける



「小遣い分けてくれないか」
「い、いけませんよナマエさん。金はお渡しした金額でジャストです!」
「…少しぐらい…」
「ノー!」
「……」



ドレークの教育は、しっかり末端にまで行き届いている。











結局ナマエが自腹で購入したグラマンを食べながら、(歩き食いはやめろ、と言ったドレークの口にも1つ押し込むと黙った。お気に召したらしい)店の通りを抜け、21番GRに入る。そして早々に出くわすこととなった



「……ん? おいドレーク、あいつら」
「なんだ…?」



前方でどうもイザコザが起きている。巻き上がる粉塵と地面を揺らす衝撃音が響き、その中心で、2人の男が打ち合っていた。
あまりの暴動に周りの住民達は悲鳴を上げながら逃げ出していた。

その市民の様子を見たドレークは、やはりじっとしていられない男で
半分ほど齧っていたグラマンをナマエの口に押し込んでから、
部下に預けていたサーベルとメイスを手にしてその中心に飛び込んで行った
「船長!」と言うクルー達の静止の声は恐らく届かないだろう。被害を被っては敵わない、ドレークに任せて下がろう、と残りのクルー達に「うひろに下ふぁってなー」と声をかけた。グラマンが口に入ったままなので、言葉のあやふやさには眼を瞑ってもらいたい






「……今 いいとこだったのに……」

「…ん?」




下がった先にも、大勢の海賊達が立っていた。目立つツナギを着て、木箱に座っている男の後ろに控えている男たち




「…確か、ハートの…」
「なぁアンタ…ドレーク屋は、何人 殺した?」
「……出会い頭に変な事を訊ねるなよ。グラマン食うか?」
「要らねェ」



トラファルガー・ロー 確かコイツも億越えの海賊だ。ドレークよりも2000万低いくせに、高圧的な態度が全身からプンプン滲み出している。

――おっかない。そう判断したナマエは、訊ねてきたトラファルガー・ローに一瞥くれてからクルー達を引き連れ、騒ぎを沈静化させたドレークの元に向かうことにした。

不機嫌そうに顔を歪めたナマエをドレークは心配したが、わざわざドレークに聞かせるまでもないことがあっただけだ、と返してグラマンの入っていた空の紙袋をグシャグシャに丸めた。






これからの"新世界" ドレークの望むモノの為なら何処へでだって共にする覚悟ならあるが、
それ相応の実力を付けなければ、あんなルーキー1人とだってマトモにやり合えはしないだろう


"無力"で終わってなるものか

零れ出したナマエの覇気に触れたクルー達は、顔を青褪めさせる
「…ナマエ?どうしたんだ?」と気遣わしげなドレークの顔に、ナマエは「何でもないぞ?」と笑った




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▼短編@返事のない愛に 原作沿い/れんさん
リクエストありがとうございました!








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