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▼ なにこの(以下略)


「朝起きてみたら、こうなっていたんだ」
「な…なんでナマエさん、そ、そんな冷静なんですか…?」
「わからない。自分でもおどろくほど冷静になれてると思う」



200近くある大柄のナマエさんが、めっちゃちっちゃくなっとる

騒ぎを聞きつけて駆け付けたハートのクルー達は全員一様に「は!?」となったが、当の本人が何故?と訊きたくなるほど冷静に言うものだから此方も落ち着かざるを得ない


どう見ても10歳前後の少年だ
いつも見ているナマエの姿の面影を少し残した若い顔が、クルー達を見上げている。
ベッドに腰掛けているせいで余計顕著にそれは表されている。
小さい、子どもだ。本人の口からナマエである、と言われなければ密航者かと疑って海に捨てるところだった



「こ、心当たりとかは…?」
「それが、全くない」
「悪魔の実を食ったとかじゃないですよね?能力者に会ったとか…」
「そんなことはなかったと思う」


幾ら昨日の行動を思い浮かべても思い当たる節に当たることはない
随分と幼い顔つきになってしまったナマエのことはとても心配で気になるクルー達ばかりだったが、
目下、それよりもまず、そろそろ指摘しなければならない存在に目を向けた



「……それで、キャプテンはずっとその状態なんですか」
「……そうなんだよ」


「ナマエナマエナマエナマエナマエナマエナマエ」


「さっきからこの調子なんだ。
それに、ずっと首筋のにおいを嗅がれていてとても怖い」
「キャプテン…!!!」



ベッドに腰掛けているナマエの小さな背中に後ろからしがみつき、顔を埋めて微動だにしないローだ
別部屋から聞こえて来たナマエの驚いた悲鳴にすっ飛んで来てからずっとこの態勢らしい
延々とナマエの名を呟き続けているその声音は楽しそうでも悲しそうでもない。

愉悦に浸っている




「何だこれナマエ小さい何だこれやべぇ」
「ロー、そろそろはなれてくれないか?」
「ちょっと舌っ足らず…!!んな無理して大人口調で言わなくてもいいんだぜナマエ!!」
「な、怖いだろう?」
「デスネー」



確かに少年らしくあどけなさのある子どものナマエは新鮮で目を向けてしまうが、だからと言ってココまでは行かない。
やはりこれが愛する者を想う者がついやってしまう行動なのだろうか。普段のキャプテンがキャプテンなだけに、このギャップは頂けない。思わず目線を彼方に向けたクルーもいた



「ナマエも、こんな気持ちだったのか…?」
「ん?なにがだ?」

「おれがナマエの世界に飛ばされた時に、幼いおれに対して実はこんな風に愛でたかったんじゃねぇのか…!?」
「……それはないが…」


ナマエの背中からガバッと顔を上げたローの顔は、予想に反さずとてもイキイキとしている。
両手で持ち上げたナマエの体をそのまま自身の膝の上に乗せてから、成り行きを見守っている周りのクルー達に声を飛ばした



「何をボーッとしてるんだお前ら。もう朝飯の時間だぜ? -------早いとこナマエに飯を用意しねぇか!!」
「は、はいただ今!!」


いつもの凛々しい顔つきで命令され思わず返事をしたは良いが、何故か釈然としない気持ちで一杯だ

しかしナマエもまだ状況を飲み込めてないせいで落ち着いていて、ローがとても楽しそうにしている様子を見ている内に、クルー達も次第にこの状況が何やら"楽しいイベント"のように思えて来た


「ナマエさん!喉に詰まらせないように、特製のスープ作りましたからね!」
「…いや、あのだな」
「ナマエが火傷しないようにちゃんと温めの温度にしたんだろうな!」
「抜かりないっすよキャプテン!」
「よし」
「…や、べつにオレは猫舌じゃないのだが…」

「そのダボダボのツナギじゃ風邪引きますよ。この服を着てください」
「ペンギン君、それは遠慮するよ」
「何故ですかァ!?」
「もし元に戻った時に困るだ…ってなぜそんなに落胆してるんだい…?」

「腕にナマエを抱き込める日が来るなんて思わなかったな…人生捨てたもんじゃねぇ…」
「そんな悦に浸られても……」



ゲッソリ。たった少しの間の出来事でこんなにヤツれられた
放置されても困るが構われすぎても困る
例え外見が10歳だろうと中身は40間近のオッサンなんだぞ?年下の者達から子ども扱いされても微妙な反応を取るしかない。

特にローのこれだ


「…勿論元のナマエが大好きだが…」
「ロー…!」

「小せぇナマエも最高だな島に降りてナマエを肩車して街中練り歩きてぇ気分だ…!」
「…ロー……」
「全世界に見せつけてやりたい」
「記念写真撮りますか!!」
「良い提案だシャチ!!」
「ありがとうございます!!」



やはりもう少し真摯に取り組んで欲しい

ナマエは内心でげっそりしながらも、皆の要望のままにダブルピースでカメラの枠に収まった



何この状況、常識がまるで機能してない


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▼恋情増幅@主がある日突然幼児化してハートの海賊団がお世話、親バカ気味/蓮さん
リクエストありがとうございました!





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