8万企画小説 | ナノ
×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -


▼ にっちもオレも上手く行かない


「………なあマルコ」
「ん?」

「お前 "ぎゃくとり"って、知ってっか?」
「……逆さに飛ぶ鳥か?」
「いやぁ、ちげぇ。と、思う」
「んだそりゃ」



何だそれはと問われても、答え方をおれは知らないのだ。ただ、ふと頭に浮かんできた言葉で意味は何だ?と仲間に訊いてみても知らないの一点張り。どこで聞いたんだっけこの言葉。そして意味はなんだ?気になってきた、どうしよう
しかし精神とは裏腹に、頭の中には次から次へと意味の分からない単語?らしきものが浮かんでは消えずに溜まって行ってまた浮かんで積み重ねてを繰り返していて



「………"ワンピース"、"45巻"と"57巻"………?」
「おいサッチお前本当に大丈夫か頭」
「うるせーな大丈夫だわ」



多分。どうもおれはおかしい。マルコたちが言うには、十数時間ほど所在の知れなかったおれが皆の前に姿を現した時には既に食していたヤミヤミの実と苦々しそうなティーチ、その間の記憶があやふやだ。この浮かんでくる単語はその間の時間と関係してるんだろうか。




「そう言やサッチ、ラクヨウ達がお前の能力見せろ!って言ってたよい」
「はー?見せモンじゃねぇだろーが」
「良いじゃねぇかよい減るモンじゃあないし」



珍しいヤミヤミの実だ。興味のある奴らはたくさんいる
しょうがないな、と得意げに笑って、
どれ明日にでもいっちょ見せたるかな、と考えていると

また頭に妙な感覚がフラッシュバック




「…あ…、そう言えばおれ、結局あのふたりに能力見せてやれてない……」



ぼんやりとした靄の向こうの、
人影に
ひとつ ふたつ





「……"あの2人"? 誰のことだよい」
「は?……え、おれ今んな事言ってたのか?」
「……ナースコール!!」
「おいやめろバカ!!」



今にも大声出してナースを呼びつけそうになっているマルコの頭を掴んで引き止める。
ナースなんて必要ない。要らない筈なんだ。これは、"そんなの"じゃないから




急に椅子から立ち上がったのがいけなかったのか、
さっきよりもずっと強い痛みが頭を覆った





(どーせいつかは帰れますって、)あれ?(不安がるだけ無駄かと)なんだこれ?(……じゃあ眠たくなるまで話でもしよう)(…まー、何やかんや大変だろうけど、明日考えよう。あした)誰の声だ?







「…………… ナマエ、?」





「誰の名前だよい」
「いや………」
「?」
「………わかんねぇ」
「…あのな」




惜しいとこまで行ってる気はするんだが、後もう一歩が足りないらしい。上手くいかない



きみは、誰だ? ナマエ








------------------------
▼あっちこっちどっち@if もし帰った後のサッチが思い出したら/瑠璃さん
リクエストありがとうございました!




prev / next