8万企画小説 | ナノ
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▼ やわらかな恋人



皆に愛されているエースから愛されている自分の、"人間性の価値"がグングン上がっている様な気がする。誰かに「愛している」と言われるのは初めてではないが、エースが紡ぐ「あいしてる」は何と柔らかな響きを含んでいるのだろう。お前は愛してるを安売りしてないか?エース、お前の愛してるには自分が思っている以上の効力がある。もっと別に言わなければならない人はいないのか?その柔らかな言葉を受け止める人間は本当にオレでいいのかい?こんな事を平然と考えるようになってしまって、いや全くエースと言う男はおそろしいおとこだ。本当に温かく柔らかい。
そしてオレは、そんなお前に愛されたくてたまらなくなったロクデモナイ男なんだ





「エース、お前はあったかいよ」
「みんなそう言うよな。どう言う意味だ?」
「内面からソレが滲み出してる。お前すごい奴だな」
「そ、んなコト!ね、ねぇって!」



抱いているエースの肩から、触れているエースのお腹から、じわりじわりと生み出される温かさがオレを包み込んでくれている。抱くとエースは温かい。これはオレがエースを好きにならなければ分からなかったことだ。ああ良かった。損したまま生き続けないで済んだ。人を好きになるなんて、と勘違いしていた自分をころせてよかった。人に好かれるのは素晴らしいことだ。だから人を好きになることも素晴らしいに決まっている。何でそんな簡単なことが、以前のオレは解らなかったのだろう。とても笑えるな



「でもよ、ナマエだってあったけーぞ」
「そうか?」
「服が邪魔してるけど、ナマエの腹も顔寄せるとあったかい。これ知ってんのって、おれだけだよな?」
「そうだなー」
「ヘヘッ」



オレの腹に顔を寄せるエース。今この瞬間に、後ろからオレが背中から刺されればその刃はエースをも貫いてしまうんだろう。ああでもエースは火だから刺されるなんてヘマはしないか。愛し合っていても、死ぬのはオレ1人だけ。それがイイ。なんて楽なんだろう。こんなに心を許して気を緩めて誰かと愛し合える。エースはすごい



「……エース」
「ん?」
「このまま済し崩しな形でキスしてもいいか」
「い、いーぞっ!」
「よおし」



刃の触れない身体で、刺されても死なないエースは、

オレが抱きしめる時は、キスをする時は、こうして触れられる



「エース」
「んー…?」
「お前を愛することができて、オレは嬉しいよ」




隣にいて抱きしめられる恋人へ

ぼくは、あなたがいてしあわせです




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▼4万企画@やわらかな溺愛 続編
リクエストありがとうございました!



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