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▼ ベタつく嘘と感情と

あそこで、親しい仲間達と集まって酒を酌み交わしている純和風美人がオレの好きな人です。
誰が最後まで酔い潰れないで生き残れるか、なんて男の矜持重視のゲームをしていて、最後の2人にまで残っている酒豪の人がです。
彼の酒を飲み体温の上がった赤い顔に動悸を早くさせていてすみません。男なもんでどうもすみません。見なければいいじゃん?誰がそんな勿体無いこと出来るか!向こうに気付かれて怪訝な目で見られるまでは見てやる



「ナマエ、さっきから全然飲んでねぇじゃないか」
「飲んでるって」
「だーれを熱い目で見てんだー?ココには野郎しかいねぇぞー!」
「おぉこえぇ怖ぇ!ナマエは男を見て楽しいのかぁ!」
「煩いなお前ら。後ろの穴犯すぞ」
「やばいぞお前ら!隠せかくせー!」
「ギャーハッハッハ!」



バカ共が大きな声を上げて笑っていても、イゾウのいるグループは、と言うよりイゾウは、一瞥くれて「そっちも楽しそうだな」と皆と似たことを述べただけで、また輪の方に帰ってしまった。
どうやら最後の1人に残ったようで、高らかと酒瓶を掲げて勝ち誇った表情を浮かべている。その周りにはやんやと煽り騒ぐ者達がいて、自分もその中に入れたらなぁとは思うのだが、そんなこと出来ない。
今みたいに、仲間達におちょくられて笑い者になるのは構わないのだが、当人を目の前にすれば笑い事で済ませられることをやれる自信がないのだ



「でもおれは、ナマエになら掘られても良いぜぇ!」
「はあ?なに言ってんだお前。ゲロるぞ」
「失礼なヤツだなお前は!『男らしいナマエサンに心も奪われちゃいましたぁー!抱いてぇー!』」
「高い声出すな!濁声にしか聞こえん!」
「いいぞー!もっとやれぇ」
「ナッハッハ愉快だぜこりゃあ!」



酔いが回った酔っ払いのむさ苦しい男に抱きつかれても何も嬉しくはない。無精髭が当たってチクチク痛いし、乗っかかられた重みが苦しくて呻き声も出る。

この騒ぎには周りの奴らも参加したようで、ヒュウヒュウと囃すような口笛や歓声が飛び交い、「おれだってナマエになら!」と悪酔いしたサッチが飛び入り参加してきたりしてとても混沌とし出した。
次々に増えていく上からの重みに、助けが欲しくて、
無意識の内にイゾウへと視線を送り手を伸ばした。しかしイゾウは、思わず見惚れるほどの笑顔を浮かべながら



「楽しそうじゃねぇかナマエ!でもおれに手を伸ばしたって、おれは御免被るがね」




イゾウからすれば、何気ない冗談のつもりだっただろうか

笑って吐き出されたイゾウのその一言が、鋭くオレの心臓を抉り取って行ったことには、到底気付かないんだな




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odai::家出
▼ノンケなイゾウに片想いする男主/海子さん
リクエストありがとうございました!


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