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「#幼馴染」のBL小説を読む
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▼ なんて依怙贔屓

*3章の島に入る前の時間軸




陽射しが照りつける炎天下の甲板で、日課となっている甲板掃除に励んでいたペンギンとナマエ
ふー、と息を吐き、隣で作業をしていたナマエにそろそろ終わりましょうか、と声を掛けようと肩を叩き振り向かせたところでその異変に気がついた



「あれ、ナマエさん 顔赤いですよ?」



振り返った顔は妙に赤い。陽射しにやられたのか、と焦った。ナマエ以外のクルーは皆大体帽子を着用している。何も身につけていないナマエにこの太陽の光は大変だ!と思ったが、



「…ああ、やはりそうか。どうにも、今朝から、眩暈、が…」


モップを持ったまま、長身のナマエの身体が傾いて行く。「…!?ナマエさ、」抱きとめたかったがナマエの体重が支えきれなかった。ガランとモップがナマエの手から滑り落ちて甲板に音を立てる。
丁度船室から出てきたローも、倒れているナマエの姿を見つけ、上層から甲板へと飛び降りてきていた



「どうしたナマエ!!」
「あっキャプテン!た、大変です!」











「……それで、ローもみんなも走り回ってくれたのか…すまなかったなぁ」
「ウチが医療集団で良かったと思え…」
「全くだ」



医療室に寝かされたナマエの顔色は、起きてもまだ青白い。熱中症でもなく、壊血病でもない。ナマエが倒れたのは、"ストレス"が原因だった



「…ナマエの身体は、慣れない環境に体調を崩したみたいだ」
「そうか…まぁ、最初が海の上を漂流していたからな。よく今まで崩さずに済んでたなって感じだな」
「呑気な……」



溜息を吐いたローは、机に置かれているコックがナマエにと切って渡していたリンゴを手に取って噛り付いた。リンゴを与えなくてはいけないような病気になったんじゃないんだぞ、とコックを注意したが、結局置いて行ったものだ

咀嚼しながらもう一個を手に取り、ポンとナマエの手に乗せた



「おれは外科医だが医者として忠告するなら、気分が良くなるまでは動かないことをオススメする」
「そうか、分かったよ」
「…じゃあ、安静にしてろよ。おれが良いって言うまでな」
「飯は?」
「おれが運ぶ」
「そこまでしてくれるのか?優しいな、ロー」
「…お、お前にだけだ!勘違いすんな!」
「?あ、ありがとう?」



そのままの勢いで医療室のドアを乱暴に閉めたロー
その足が次に向かったのは、食堂だった



「とびっきり栄養価が高くて美味いモンを大量に作れ。いいな」
「キャプテンさっきはリンゴでさえ必要ないって言ってたじゃありま、」
「良いから作れ。命令だぞ」
「アイアイ」


何て明け透けな依怙贔屓だろうか



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▼恋情増幅@風邪をひいて寝込む男主にあたふたするロー/kinoさん
リクエストありがとうございました!



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