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▼ どうやら僕は貴方に

すげー、かっけー、つえー、しびれたー

最初にあの人を見た時のオレのバカ丸出しの感想は、ちっとも間違っちゃいなかった
凡夫である若造のオレが、マルコ隊長のいる1番隊に配属されたことがそもそもの幸運で、
下っ端中の下っ端の地位だったとしても、あんなに格好いい男の下で海賊をやれる自慢なことが、故郷の母さんに書いて送った手紙の最初の一行目だ






「なのに何ですかこの仕打ちはマルコ隊長テメー」
「なのにって、どこの言葉と繋がってたんだよい。ナマエの脳内の語りをおれに押し付けんな。それよりもっとそっち寄らせろい」




冬島気候寄りの海での夜間見張りは、身に沁みる


何枚もの毛布を持ったマルコ隊長が梯子を片手だけで上って来て、
オレの毛布ごと身体を押されたせいで見張り台の上の密度が濃くなった
今日の夜間の見張り番が1番隊に回ってきて、それは大体下っ端が任されるのだが
その順番がオレになるとどうしてだかマルコ隊長が"同伴"してくる



「…さ…ざぶい゛……うーブルブル…」
「口で言うなよい。毛布分けてやろうか?」
「いいですよ。オレよりマルコ隊長のがよっぽど寒そうですし…」
「下っ端がブツブツ言うなよい。なら、おれが毛布ごと寄れば文句ないな」
「えええどうしてそうなったですか」



ぼふんと寄せられた毛布のお陰で確かにさっきより少しだけ暖かくなった

そうだ。あともう1つあった。マルコ隊長はとても部下思いだ
オレの見張り番の時に何故か同伴してくるのも、口では「んなのナマエが下っ端中の下っ端中の下っ端だから、ヘマやらかさねぇかと隊長のおれが見ててやってんだよい」と言っているが、これは建前で本当は多分オレのことが好きだからなんだ。
でなけりゃこれはオレの"勘"だが、オレのことが可愛くて仕方が無いとか、オレが心配で目が放せんとか、夜でも傍にいたいからこうして時間作ってるの分かれバカといてもたっても居られていないとか。

きっとこの内のどれかだ間違いない。たぶん。まあ限りなく"あるわけない方"寄りだが


しかし寒い。今日はどうしたことか、いつもより寒い




「…大体、白ひげ海賊団の船にノコノコ接近してくるような海賊船とか海獣とかって、いるんです…?」
「そんなだからお前は下っ端なんだよいナマエ オヤジは強い。でも慢心をしないんだ」
「……なるほど……ちょっと勉強なりました」
「ん。そーやってコツコツ覚えてくんだよい」
「了解ですマルコたいちょー」
「おまえ、最初ん頃の初々しさをどこの海に棄てて来やがったんだよい。生意気だ。もっとあの頃のキラキラした目でおれを見ろ、敬えい」
「イダダダダダあたま潰されるううううう」




毛布から腕だけ出したマルコ隊長の強力には石頭のオレの頭部でも迎え撃つことは出来ない。大人しく参ったのポーズを見せる
あー寒くて感覚ピリピリしてるのにその上頭痛なんて、死ぬかとおもった



「…って言いますけどねマルコ隊長。オレは今でもあなたの事はキラキラした目で見てるつもりなんですけど」
「んなの分かってるよい。綾で言ったんだ、あ・や」
「…難しい言葉を使いますね」
「ナマエはもうちょい本を読むべきだなこりゃ」




海は今夜も穏やかとは言えないが、寝ているクルー達を起こすほどではない
体をピッタリとくっつけたマルコ隊長のブルブル震える振動だけが伝わって来るだけの静かな夜で、マルコ隊長と過ごすこの見張りの日が、実はすごく楽しみにしていたりするのだが、当人に伝えた事はない。何故なら恥ずかしい



「マルコ隊長」
「んー…?」
「オレんこと、部下として今のとこどう思ってます?」
「あーそう言や、今日でナマエが1番隊に配属されて2年が経つな」
「あ、覚えてたんですか。すごい」
「そりゃー覚えてるよい。可愛い部下のことだからな」



こう言うことを何でもない感じにやって見せるからこの人って格好イイんだよ



「そうだなー…あと、心配で目が放せないのは確かだい」
「え、オレってやっぱりまだ心配っすか。2年も経つのに…ショボン…」
「だから口で言うなって。心配ぐらいするよい、おれはお前の隊長だからな」



あ、その笑顔もすっげーカッコイイです



「心配して貰える内は幸せなんですかねぇ…」
「だろ?」
「いやでも、夜間の見張り番にまで付き添って貰わなくてもいいような気がしますけど」
「…駄目かよい?」
「だって、マルコ隊長だって夜は部屋の中で眠りたいんじゃないんですか?」
「まー、そりゃな」
「なのにそりゃまた何故?」
「…そんなの、夜でも傍にいたいからこうして時間作ってるんだ分かれよい、バカ」




…どうやら、オレの勘はちっとも外れていなかったらしい





あー熱いあつい。何だこれ急激に熱い。一体なんなんだこの熱さは








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▼男主×マルコ 甘/楓さん
リクエストありがとうございました!




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