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▼ 捧ぐオーバード

神にも寿命がある。と言うよりも、神としていられる期限、とでも言うのだろうか
「魔の三角地帯」を彷徨うブルックを見守り続け50年
そろそろ自分の寿命が尽きそうだ、とナマエは悟っていた。日に日に分かってくる。存在が薄れていっているのだ
海王類たちや海獣たちが心配げにしてくれているが、大丈夫だと言える。そう、ナマエ自身は"大丈夫"だ



 ただ、彼が心残りなだけで、







「なぁお前、おれ達の仲間になれよ!」

「あ、いいですよ」





 ――おや、なんと言うことだ





麦藁帽の似合う若い人間が、骸骨を恐れずに言った言葉は仲間の誘い

「これからは、おれ達がブルックの傍にいっからな!」
「…ヨホホホ、勿体無い、言葉です」

涙声混じりに、ブルックは、嬉しそうに笑っている。麦藁帽の男が言った言葉に対して、大層うれしそうに
(ナマエが50年掛けても言えなかった言葉)




「影も無事に取り返せたし!」
「はい とてもお世話になりました」

日の下に出たブルックの足元には、長らく見かけなかった彼の黒い影 ああ、取り戻せたんだね よかった
(ナマエが無力を呪った7年間の 無駄)




「お嬢さん…」
「なに?」
「…パンツ、見せてもらってもよろしいですか?」
「誰が見せるか!!」
「あぁ!頬に受けるハイキックがこんなにもイイなんて!」



黒い目を細め、とても嬉しそうに笑うブルックを見て こちらも嬉しくなった
(痛む心は知らないフリだ )(あ、自分に心は無いんですけどねー、 ははは)




「……ルフィさん、私ね」
「んー?」
「いま、とても幸せです 誰かが傍にいると言うのが、とても嬉しい」
「 しししっ そっか!」





いたんだよ、ブルック
お前の傍にナマエは 50年間ずっといたんだ


(お前は知らないだろうけれど、)





「よっし!じゃあ新しい仲間も増えたことだし!冒険の続きだァ!」
『オー!!』
「よろしくお願いしマース!!」



船首を彼方に向ける彼らの船
久しく見なかった陽の光に照らされた橙色の船体が輝かしい
ブルックの旅路に、ピッタリの光景だ


後ろに控えていた海賊船からもワラワラと別れの言葉が聞こえてくる
波を上げて進み行く船を見送りながら、ナマエは自身の存在がどんどん消え行くのを悟った


ナマエの代の神は終わる。ナマエの存在が完全に終わりを迎えれば、すぐにでも新たな海洋神がこの海に誕生するだろう
神のくせに、たった一人の骸骨に寄り添って過ごした50年の期限

後悔はなかったか?と自問する




「ヨホホホホホ!」





(……ふふ)



嗚呼 あの心からの笑顔を見れただけで、
彼に寄り添った50年は無駄ではないと思える



さようならブルック








 う
  
   



  



 









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▼ネタ@0423 人外主(男主)/琳眞さん
リクエストありがとうございました!



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