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▼ 名前のない約束

*過去編/25巻ネタ










「七武海の召集に行く?お前が?」
「…ああ」



シッケアール城の暗い夜。周辺のヒューマンドリル達も寝静まる時間帯までオレの仕事がなかなか終わらなかったせいがあり、遅めの夕食となった飯の席で、
ミホークが告げたのは明日の予定の内容だった

コイツが七武海の1人であることは知っていたが、この島に来て「会合」とやらに出かけている姿は見たことがない
それが明日、召集に参加する為に聖地マリージョアへ向けて出発するのだと言う



「そりゃあ珍しい。心境変化?」
「…今回の議題に、麦わらの一味のことが上がっているらしい。少し興味がある」
「前にお前がバラティエに出かけた時に会ったって言う奴らのことか」
「そうだ」
「…その時、ミホークお前、あの首領・クリークの船沈めておいて『暇潰し』だの『帰って寝る』だの言ったらしいな」
「………言ったか?そのような事。 そもそもそれを何故ナマエが知っている」
「バラティエで知り合いが働いてるんだ。そいつが電話してきてくれたんだよ」



本当にあの後、船を飛ばして帰って来たらしいミホークは帰って来るなり早々「疲れたから寝る」と言って自分の寝室に入ってしまったんだったか。まだ帰って来ないだろうと思ってミホークの部屋の掃除をしていなかった事は指摘されずに済んだから良かったものを…いや、今話すのはそんなことではないな



「とにかく、明日お前はマリージョアへ向けて船を出すんだな?」
「そのつもりだ」
「よし、道中の弁当も豪勢にしてやるからな。途中でちゃんと食うんだぞ?買出しには昨日行ったから、お前の好きなモノを入れてやろう。あと保存のきく…」



あれやこれやと、ミホークに明日から数日間持たせる食糧の献立に頭を捻っていると、
口付けていたワインをそっと机に戻したミホークが、言い辛そうにオレの顔を窺ってきた

「?」なんだ?と気付いてオレもミホークに目を向けてやる。
これはオレがミホークと過ごし始めてから最近気付いたことだが、
ミホークは無口で何も言わないやつかと思いきや、
こうして人の顔を見て「これを言おうか言わまいか」とちゃんと考えているらしい。
大概は、折角考えた言葉も伝えないことが多いようだが、オレには結構な頻度で言いたいことを言ってくれている。ような気がする。懐いてくれているのだなぁ、とイイ気分になったってバチは当たらないよな



「……ナマエ、お前が構わなければ、の話なのだが…」
「おぉどうした?言ってくれ」



ニカっと笑って続きを促す。するとミホークも表情を少し緩めて話し始めるのだ



「…ナマエも行かないか?マリージョアへ」
「…………オレが?マリージョアに?いいのか?」
「おれに帯同する形なら内部に入れる。…会議場までは入れないが、街ぐらいなら回れるだろう」
「おぉ…!」
「………飽き飽きしているのではないかと、思っただけだがな」




クライガナとその周辺の島にしか出歩かないのはナマエもつまらないだろう、

つまり、そう言ってくれてるんだなミホーク?



「いいなぁ!行けるなら行ってみたいぞ聖地マリージョア」
「……面倒な場所だが、ナマエなら問題も起こさんだろ?」
「天竜人がいるんだっけか?大丈夫だ、じっとしている。買い物はしたいがな」
「そうか」
「何が店頭に並んでるんだろうか……想像もつかない」
「………あわよくば会議が早々と終われば、おれも同伴しよう」
「オレは荷物持ちが必要なガラじゃあないがな。そうだ、ミホーク用の服を買おう」
「…わざわざ聖地でか。それこそ近隣諸島で済ませればよかろう」
「何となくだ」
「何となくか」



思わぬ予定が舞い込んで来てくれたもんだ
明日に回していた仕事は、全部今夜の内にあらかた終わらせてしまっておこう




「ほら!食べたなら食器を重ねろ!渡せ!オレは仕事に戻る!」
「…明日に響かぬようにな」
「勿論そうするさ!さぁお前はもう寝ろミホーク!おやすみ」
「お休み」




食器を片して外に出しっぱなしにしていた梯子をバラして倉庫に戻して明日の弁当の食材を見繕って今日の夜は一段と冷えるからミホークが寝静まった頃に部屋に行ってもう一枚シーツを被せる。そして寝る。明日から久しぶりの遠出になりそうだ!と、オレは自分の年も忘れて心を浮き立たせたのだった




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odai::空想アリア
▼familyBOSS@ミホークと夢主の甘
リクエストありがとうございました!


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