8万企画小説 | ナノ
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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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▼ それは当たり前の思考でした

*4章前半の時系列




宿の主人から借りた老眼鏡をかけて、船大工のノウハウが詰まった分厚い蔵書読んでるナマエカッコイイ

と思うことにもそろそろ飽きてきた。だが履き違えて欲しくないのは現在進行形でナマエはカッコ良し続けていると言うことだ



「 もうムリ限界だ  ナマエ、読書やめ。でも眼鏡は外さなくてもいい」
「……なかなか我慢が持ってくれたみたいだなロー」



"シャンブルズ"によって、宿に設置されていた灰皿と本を取り替えられたナマエは
大人しく勉強する手を止めた。
隣の椅子に座り、黙ってナマエの横顔を見ていたローの我慢の限界が来たら止めようと思っていた。きっちり3時間半、ローにしては長く頑張ってくれたらしい。
放って置かれた空白の時間を埋めるようにローはナマエに体を摺り寄せる。よしよしと撫でてくれる手が心地好い



「おい、変な体勢になるなロー 椅子から落ちるぞ」



丸椅子から足を放り出し、上半身だけを捩ってナマエに擦り寄っているせいで、ローは今にも尻から床に落ちてしまいそうな体勢になっていた。捻りでもしたらどうする!と注意するナマエをヨソに、ならこうしようとローは細い体をナマエの膝の上に乗りあがらせた



「これならイイだろ?」
「……近いぞ」
「近付こうとしてるんだから当然だな」
「膝が痺れる」



自分の膝を心配して渋い顔をするナマエだけど、ローが後ろに落ちないようにとしっかり背中に腕を回してくれる優しさにローは上機嫌だ。自分がナマエに愛されている、と認識出来る。こんな幸せを一日に何度体験していいのだろう。バチが当たらないかが恐ろしい



「視力悪かったのか?」
「年齢からくる霞みには勝てなくてな」
「おじいちゃま、ってか」
「……あのな、人が気にしていることをサラっと言うもんじゃあないぞロー」
「なんだ、気にしてるのか?」
「気にしていると言うか、気にし始めたと言う感じだな」
「なんで?」
「………あー……」



?なんでそこで気まずい顔をするのかナマエ



「…ヤマシイことか」
「違う。……ローは、若いだろう」
「?」
「オレはこの通り四十路近くのオジサンだからな まだまだ若いローの今後の為にならないのではとおも、「何を言うかと思えばくっっだらねぇ」…くだらないか?」
「ああ、くだらないな」



くだらない。もう一回ちゃんと口にしたその顔はほんのりと不機嫌になる

グリグリと首筋に押し付けられるローの頭を撫でながら、ナマエは今の自分の台詞のどこが不味かったのかなあと考えた。ローが気にした様子がないから、此方が考えてみるしかなかっただけで、ナマエもローが「いい」と言うなら別にこうして気にすることもなくなるのだが



「考えるだけ脳細胞の無駄だぞナマエ」
「そうなのか?」
「ナマエはおれの事考えてたらいいんだ」
「今は船大工の知識のことも考えていたいんだが」
「じゃあそれは別枠でいい。メインはおれだからな」
「はいはい、仰せのままに」
「……なんだそれ」
「え?」
「いまの、なんだ」
「すまんさすがにサムかったか。悪い」
「………っ」





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odai::207β
▼恋情増幅@気持ちがちゃんと伝わったか不安な主とロー/はるかさん/▼恋情増幅@番外編 ロー 甘/▼恋情増幅@番外編
リクエストありがとうございました!


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