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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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「りーん、くんっ」
「祥子さん」
「今帰りよね? 一緒に帰ろ」
「うん」


倫之助の通う高校から少し離れた交差点で、駆け寄ってきた祥子さんはふわふわの髪を揺らして笑った。いつものマスクと、今は赤いマフラーで口元を覆い隠している。去年のクリスマスに俺が贈ったプレゼントだ。まだ寒い季節が続くから、祥子さんの鼻頭も赤くなっている。寒そう。いつから待ってたんだろう


「倫くんと晩御飯食べようと思って待ってたの」
「いいね」
「スーパー寄ろうか。倫くん何か食べたいものある?」
「オムライス」
「分かった!腕ふるっちゃうからね」


力瘤を作る真似をした祥子さんは楽しそうだ。釣られて俺も笑顔になりかけた。それを妨害して来たのは後ろからかかってきた「あー!!!」と言う声 聞き覚えがありすぎたので祥子さんの手を引いて早歩きになってみる。「倫くん?後ろの子は高校の友達?」その通りです祥子さん 関わると面倒なタイプのやつ



「待てまて待てクゥゥガァアアア!!」
「仮面ライダー?」
「それがお前が言ってたカノジョさんかくっっそ可愛いじゃねぇか死ねー!!!」

「倫くん、可愛いだって。どうしよう嬉しいな」
「祥子さんは可愛いよ」
「でも倫くんあまり言ってくれないじゃない」
「ごめん。可愛い」
「あ、ありがと」


「どうしよう斉藤おれ泣きそうだ」
「見事な当て馬だもんな矢野 お疲れさん」



あ、祥子さんもうそれ以上動かない方がいいかも。
マフラーが取れてマスクの端から口が見えそう




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