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「#幼馴染」のBL小説を読む
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ダストホールを塞いでいたのはロボットだった。どうしようなにこれ


「……壊れてんのかな」


そりゃそうだろうな。壊れてないものは此処には来ない。大方、上層部に住む金と暇を持て余した金持ちたちが造ったんだろう。用済みとなったから棄てられたからなのか、ゴミ捨て場に棄てられるものにしてはそのロボットは結構綺麗な状態を保っていた。でもさすがにロボットなんて。持って帰れないし持って帰る用途も思いつかない。



でもなんとなく、このロボットどうなっちゃうのかなって思った。
このまま此処にあって、穴を塞いでいて、どうするつもりなんだろう。ゴミ棄てに来た収集車が大きなロボットが穴を塞いでいると気付けば、それなりの措置が取られたりして、このロボットも穴の中に入れられて、機械によって"燃えないゴミ"とレッテルを貼られるんだ。

こんなに大きいのに。 こんなに 格好いいのに


昔、まだ父さんが健在だった頃に一度だけ"テレビ"と言うものを一緒に見たことがある。その時やっていたのは、夕方五時ごろの 少年少女が宇宙から来たロボット達と交流を持って悪者ロボを倒すって言うありきたりな話 でもそのロボットが、とても格好良かったのだけは今も覚えている。このロボットとは似てもいない。あっちはもっと赤とか青とか色とりどりだったけど、このロボットは銀色主体だ。



「…おーい 起きろロボットー」


ロボットは答えない。 投げ出されているぼくの背丈よりも大きな指をガンと蹴った


「起きろって。このままじゃお前、バラバラにされて死んじゃうんだぞ」


生きられないんだぞ。お前ここで死んじゃうんだぞ。いやもう死んでんのかも知んないけどさ。

ぼくの中にはちょっとイライラが生まれてきていた。少し腹が立ったんだ。どんなロボット生活を送って来たのかは知らないけど、こんなに綺麗で格好いいのに用済みになったから棄てられて終わりなんて、このロボットはそれでもいいのか?って。

ぼくなんか誰からも望まれず誰からも求められず生きる理由も価値もなかったけどここまで生きて来た。死にたくなかったからだ。漠然としてるけど何よりも重要なことを守るためだけに汚くても、意味なんかなくてもここまで生きてたんだよ。それなのに、それなのに



「お前はそれで良いのかよロボットー!!!」




――ピ


「………  へ?」


――ピ ピピ



「な、なんか音し始めたんだけどこれは」



≪音声認識装置起動開始――外部から発せられた1000Hzの周波数取得OK≫


「うわぁっ喋った!?」



ぼくが怒鳴ったからか!? ロボットの頭の方から声が聞こえてきた。声と言うより機械音声を切り貼りした感じの無機質な声が。

ズシンと地響きがした。立っているのがやっとの震動で、それは目の前のロボットが立ち上がろうとしていることによって発生していた。



「………起きた」


信じられない。これ、やっぱり壊れてたわけじゃなかったんだ


地面についていた両手に力を込めて、ダストホールに落ちてしまわないように身体を起して、ロボットは立ち上がった。大きい。倒れていたときには分からなかったけどロボットはすごく大きかった。5mくらいはあるかも知れない。

ロボットが一歩動くたびにこっちは地響きに耐えながらそれを見守った。
そして完全に立ち上がったロボットは青い光を目に宿して



≪娯楽嗜好-家庭用機械・ディルルド 起動しました。おはようございます、マスター≫



今度は無機質な機械音声じゃなく、低い大人の男性のような声を出してロボットはそう言った。ぼくはと言えば



「………でけー」



改めてその大きさに圧倒されてたとこだ




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