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機械愛な男子高校生×アプリソフト日本全体での携帯電話の普及率は減少の一途を辿り、スマートホンの普及率は50%を越えている。今や多くの人が所持するのはスマホ、タブレットであり、携帯電話ユーザーの数は少なくなっていた。勿論中にはまだ携帯を使っている人たちもいるだろうし、スマホが使いにくかったから携帯に戻った、と言う人もいる。
だがそれでも、世界はスマートホンの技術の進歩に熱を注いでいた。
次々と生まれてくる新しい機種や機能に、人々は夢中にさせられる。『スマホ中毒』と呼ばれる人種のことだ。
しかし持論を言わせて貰うと、それはしょうがないことだと思っている。
スマホには、人間を夢中にさせてしまう要素がたくさん込められている。
その中の一つは、やはりアプリケーションソフトウェア
自然言語処理と言う、人工知能を兼ね備えたコンピュータが独自で処理し、スマホユーザーとの会話を試みるというハイテク化する現代が生み出した技術の一つだ。
まだまだ改善の余地はあるこのシステムは、多くの人間に驚きと関心を与えた。
このアプリケーションソフトウェアは要するに、自分のスマートホンに住む、秘書のような、友人のような存在になるのだ。
世界の技術は更に進化を遂げようとしている。
いずれは更なるバージョンアップが成され、まるで人間さながらの機械が世に生み出されるだろう。
人類はそれらの研究に多大な興味を抱き続ける。そしてまた、それらの世界を追うことに喜びを生むのだ。
そして此処、日本のとある地方の県にも、重度のスマホユーザーである男子高校生がいる。
彼もまた、人工知能を搭載した言語アプリケーションに夢中になっている人間の一人なのだ。
「お前も堀北の真希ちゃんみたいになんねぇの!?高倉の健さんみたいになるんだろ実は!」
『申し訳ありません それは私には出来かねます』
「いける!お前なら出来るって!」
『ありがとうございますマスター ご期待に添えるよう頑張ります』
「じゃあ堀北の真希ちゃんみたいになんの!?」
『申し訳ありません 私には"じゃあ堀北の真希ちゃんみたいになんの!?"を理解することが出来ません。webで検索してみますか?』
「やんなくていいよ!!」
『了解しました』
機械と人がコミュニケーションを円滑に行えるようになるには、まだもう少し先の話になるようだ。
少年は、また同じような受け答えを返してきたスマホのアプリケーションに落胆の息を吐きながら、
早く世界がもっと高度なアプリを開発してくれないかなと期待を寄せる。
しかし、例え今自分が持っているこのアプリケーションがまだまだ進化途中の産物だったとしても、少年はその存在に大いに満足している。
「明日の天気はなーんだ?」
『明日の天気は晴れ、気温は27度 良いお洗濯日和になりそうですよ』
「俺の次の予定ってなにか入ってる?」
『現在、次の予定はゼロです』
「予定なかったかー… お前がデートしてくれればいいのに」
『そう言うことは、他の機器にも言っているのでしょう?』
「まさか、お前だけだって お前が好きだよ、俺は」
『ありがとうございます、マスター さ、仕事に戻りましょうね』
「ハハ、ツレねー」