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「#幼馴染」のBL小説を読む
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*男子高校生+ゲーム用の機体ロボ







今日は、雲一つない晴れ間が広がる、からっとした夏の日だ。
こんな日はアリスに乗り込んで、大空を飛び回ればさぞかし気持ちが良いだろうに、何の因果か今日は期末試験一日目 勿論遊んでいる場合じゃない。連日のようにテスト勉強に追われて、満足に遊ぶことさえ出来てないんだ。
それをアリスに伝えても、≪学業の方が大切だろ?≫って真面目な発言が返ってくるだけ。あいつは多分、他の人工知能よりも"堅物"として設定されてるに違いない。


俺が住む都市では近未来化が進み、人の娯楽も今では『搭乗型のロボットに乗り込み、ロボ同士を戦わせる』というハイテクノロジーな文化に変わっている。
人が駆るロボットは人型を筆頭に、動物の形をしたタイプの奴や、乗り物の形を取っていたりと様々だけど、一貫しているのはそれぞれのロボットたちに『プレイヤー支援システム』すなわちAIが備わっていると言うところだ。

もはやロボットは、無機質な存在じゃない。
人間と共に会話し、独自で思考し、一心同体となってゲームに身を興じたりする。

アリスって言うのが俺のパートナーとなるロボットなんだけど、こいつがまた生真面目と言うか何と言うか…
≪男性型である私に"アリス"なんて女性名をつける君のセンスがよく分からないよ≫から始まって色んな小言を言ってくる。母親みたいだ、って言った時はまた怒ってたっけ…



「…あああ!学校行くのヤダ!めんどい!!」

≪…と言う愚痴を言ってエスケープを試みる頃かと思って様子を見に来て正解だったな≫

「って、アリス!?お前、何で通学路にいんだよ!ガレージにいろよ!」

≪駄目だぞ。ちゃんと試験は受けないと、ナマエ≫


いきなり俺の目の前に降って湧いてきたアリスは、腕組みをした呆れ顔で見下ろしてくる。
分かってるよ! 噛み付く感じで吠えてみれば、≪理解してくれて良かった≫とまたもや小生意気な発言が。


≪早く試験を終わらせて、ゲームをしに行こう≫

「そうだな。 聞いたか?アリス。俺たち、一個上のセンパイに目ぇつけられてるらしいぜ」

≪ほう。それは楽しみだな。いつか対戦する日があるんだろう?≫

「返り討ちだな」

≪返り討ちだ、な≫


アリスが笑う。大きな手を差し伸べて、≪なんて悠長に話してる間に遅刻だな。連れて行くよナマエ≫なら、
お言葉に甘えることにする。

ゲームの最中には滑空したり宙返りしたりと忙しないアリスの背中のウィングパーツが、収納形態を解いて羽のように開き出した。
アリスが立ち上がる姿を見てるだけで、気分が高まってくる。ああ、早く遊びに行きたいなぁ、なんて


「どうせならコクピットに乗せてくれたら良かったのにさ」

≪それは"おあずけ"と言うものだろう≫

「ちぇー」


どうか、試験が終わった後もこの気持ちのいい空が続いていますよーに


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