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理央が拾ってきた――捕まえてきたとあの子は言い張る――不思議生物・インセは、この家で飼われることとなった。
当初、理央は「ぼくの部屋で一緒に住むの!」と言って聞かなかったが、さすがに理央の子ども部屋にインセのような大きな生物は窮屈だろうと言うことで、天井の高いリビングで主に過ごしてもらうことで落ち着いた。

少なくとも俺は落ち着いてきた。
インセは、見た目ほど凶暴な性格はしていないようだ。まだ全てを把握できたわけじゃないが、インセが理央を見る赤い目は柔らかで、信用してもいい気がしたんだ。


と言うわけで、妻を亡くし、息子と父親、男二人暮らしだった磯場家に新しい住人が増えた。



この昆虫は何を食べる生き物なのだろう?
 ゼリー? ゼリー的なやつ?




インセは、喋れないのかと思えば喋れる生き物らしい。
寡黙なようで滅多に口は開かないが、それでも理央が話しかければすぐに返事をするところを見ると、人間との交流に偏見とかは持ってないみたいだ。


理央が今朝早くに裏山に出かけ、インセを見つけて帰って来てから少し時間が経ち、昼時になった。



「理央、腹減っただろう。ごはん食べるか?」

「食べるー!!」

「よぉし来た」


今日は前々から、理央の大好物であるオムライスを作ってやる約束をしていた。
なので冷蔵庫から卵やケチャップ、豚肉を取り出して昼食の用意を始める。
するとそこで、リビングに遠慮がちに腰を下ろしているインセの元に駆け寄った理央が話す声が耳に入って来る



「ねえ! インセは何が好きなの?」


…確かにそれは気になる。と言うか、気にしなくてはいけないことだ。包丁を持つ手を止めて二人の会話に耳を傾ける。

にじり寄る理央の顔をジッと見つめているインセは、黙ったままだ。
尚も理央が言い募った



「インセって、なにが食べられるの?」

『……………人間』

(!!??)

『の作った物も飲食可能だが、出来れば自然に成っているものの方が好ましい』

「で、ですよねぇー!!!」

「おとうさん、どうしたの?? ――てことは、インセは何でも食べられるってこと?」

『そうなる。好き嫌いはしない』

「へぇー!偉いね、インセは。ぼくなんてチーズも嫌いだしマヨネーズも苦手だし牛肉も嫌いなのにー!」

『…しっかり食べないと大きくなれないぞ、理央』

「むーそれお父さんにも言われるー」



良かった、人間食べるとか言われたら理央の体を抱えて逃げるとこだったぞインセよ…。



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