星を見つけた日
『先輩として、俺がアイツ等に何ができたか。引退してからよく考えるようになった。』
「アイツ等はあなたのことを尊敬していると思いますよ?」
『……でもなんか今、気まずいだろ?』
「そうですね。全くどうしちゃったんだか。」
『俺としては、前みたいに仲良くっつーか、馬鹿やっていてほしい、みたいな。』
「些細なことで喧嘩することはあっても、大概はセットでしたからね。」
『アイツ等だって前とは違うし。』
「離れてから気づくこともあるし、お互い頭も冷えてるでしょう。」
『まーとにかく、ずっとこのままってのはなんか嫌っつーか。……俺の我儘だな。あまり口出しするべきじゃねーのか?』
「良いじゃないですか、我儘で。私もいい加減イライラしてきましたし。」
『手厳しいな。』
「当然です。他人の入る隙なんか一部も無かったのに、こんな呆気なく崩れます?とっとと仲直りでも何でもしなさいって常日頃から思ってます。」
『そうか。……で、協力してくれるか?』
「もちろん、喜んで。」
『サンキューな。』
「はい、任せてください、岩泉さん。
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電話を切って、意味もなくくるくると混ぜていたカフェオレに口をつける。さて、何から始めようか。馬鹿2人はともかく、頭の切れる彼に悟られないようにしないと。ああ、面白くなりそうだ、と口角を上げると、残っていたカフェオレを全て飲み干した。
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