シキさんとネコ
日向が迷子になったり、田中のシティボーイ発言に笑ったりと色々あったが、音駒との練習試合の日になった。
目の前にいる真っ赤なジャージ、アルファベットでNEKOMAと書いてあり、都会はやっぱり英語なのかなーと思う。
……なんか、視線が痛い。さっきからモヒカンの奴にものすごい見られている、気がする。
でも、こういうときは無視するのが一番だって言われてるから、さっさと仕事に向かうことにした。
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音駒にはマネージャーがいないらしい。 そのため、ドリンクやタオルは私が用意することとなった。
「敵なのにすいませんね。」
音駒の主将……黒尾さん、といったか。
「いえ、遠いところからわざわざ来て下さったので、気にしないで下さい。」
そういえば、音駒高校は確か、帝光からさほど遠くなかったはずだ。
「名前は?」
「色摩紗瑛、2年です。」
「色摩さんね、よろしく。」
この後、潔子さんに呼ばれたため、音駒の皆さんに一礼してから去った。
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練習試合の結果は全戦全敗。でも、確実に皆の糧になっていると思う。
空はオレンジ色に変わっていた。
田中とモヒカン……山本が涙を流しながら熱い握手をしている。うん、何があった。
「色摩さん、今日はありがとう。」
「はい、こちらこそ。」
音駒を見送って、烏野へ戻る。
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「色摩紗瑛、ね。」
「どうしたの、クロ。」
「いや、どっかで聞いたような気がしてな。 」
「あっそれ、俺も思ってたっす!」
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