シキさんと練習試合
試合終了を告げるブザーが鳴る。 私達烏野が、ベスト4に勝った瞬間だった。
「お疲れ。」
今日の試合のMVPとも言えるルーキー2人にドリンクとタオルを渡す。
「「ありがとうございます!」」
前半はガチガチでヒヤヒヤしたが、活躍してきた日向に安心した。
自分より低い位置にあるオレンジ色の頭をわしゃわしゃと撫でてやる。そうすると顔を赤くして逃げていくので、面白くてつい喉を鳴らしてしまう。
「こらー色摩、あんまり日向をいじめるなー?」
菅原さんが困ったように笑いかける。
「すみません、中学ではこんな可愛い反応する後輩がいなかったので、ついやっちゃうんですよね。」
あのカラフルな頭をした彼らはこんな反応しなかった。しいていえば、桃色の彼女位だろうか。
挨拶を済ませ、先にいった部員たちを追いかける。
「潔子さん。」
「どうしたの?」
「あの人いますね。」
視線の先には相手校の主将、潔子さんと一緒にガン無視をしたのが記憶に新しい。
あの人を見ていると、どこぞの黄色い犬を思い出して腹が立ってくる。
「先にバスに乗ってよっか。」
潔子さんの言葉に頷き、バスへと向かった。
帰る途中、澤村さんが1年生たちに「守護神が帰ってくる。」と言った。
あの小さくて大きな背中を思い出して、騒がしくなりそうだ、と小さく呟いた
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