シキさんの正体
視線が痛い、目で穴が開くとはこういうことなのか。

「よく知ってましたね、バレー部なのに。それからもう私は "高校" 生なので "中学" 最強では無いです。」

「ぶっひゃっひゃ!そう返してくるか!!」

黒尾さんの笑い方には突っ込まないでおこう。

「シキさんってサイキョーなんですか!?」

「帝光の色摩紗瑛といえば、バスケ界で有名だよ。
中学女子の中では敵なんていないとか、あのキセキの世代にも劣らないとか。」

日向の質問は赤葦が答えた。
私はそんな大層なモンじゃないけど。

「ま、ようはバスケの天才ってことだな。」

「私が天才、ですか。
じゃあ、あいつらは一体何なんでしょうね。
キセキの世代は、天才では説明しきれない化け物ですよ。

私は大したことはないです。噂が一人歩きしているだけですよ。」

では、私はこれで。
そう言って立ち去ろうとしたとき私の前に日向が立ち塞がった。

「シキさん!アレできますか?ひゅってやって、バーンのやつ!!」

「ひゅってやって、バーン……?」

「もしかして、ダンクシュートのこと言ってんじゃないか?」

日向の擬音に頭を悩ませていると、菅原さんが通訳をしてくれた。

「でも今バスケットボール無いし……」

「ここに!」「あるぜ!!」

ゲリラコンビが差し出してきたのは、紛れもないバスケットボール。
体育館倉庫にあったらしい。

これはやらなきゃいけない感じか。


数回ドリブルした後、ゴールに向かって走る。

「女子じゃ無理だろう。」
「出来る訳ない。」

後ろからそんな声が聞こえてくる。
そんなもの、言われ慣れた。

床を蹴り、ガシャン!と音をたててリングに掴まる。ボールはネットをくぐった。

数秒の沈黙が流れたがすぐに歓声に変わった。



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