最悪だ。最悪すぎて笑えてくる。僕の目の前にはすごく苦手な虎。なんでこいつがここにいるとか、もちろんそこにいる駄犬のせいで…。
「じゃエンキ、決着着けようか、ゲームで。」
「ああ。」
「話を聞け駄犬!!」
ものすごく蹴り飛ばしたい。いや、今蹴飛ばす。
が、僕の目の前に割り込んでくる虎。
「ラウちゃん、そんなに眉間にしわ寄せてちゃ可愛い顔が台無しだぜ?」
「誰のせいだバカ虎!」
ああ、もう!なんでこのタイミングで下僕がいないの!?バカなの?シネ!
あ、なんでこの虎を蹴らないって?蹴ってるよ!すでに!でも無駄に反射神経があるこいつは全部全部避けるし、あああああもう!
「なぁなぁ、ラウちゃん!好きだ!」
「しつこい!!」
会う度会う度好き好き言われたって、僕にはキャロしかないんだから諦めろ!
だいたい僕に掘られる趣味はないからな!
「俺じゃだめなの?」
「ダメに決まってんだろ!!」
気合を込めて一発蹴ろうとしたとき、ガチャリと玄関のドアが開いた。
「…ラウっ!」
そこには心配そうな表情の下僕と、狼のやたら背の高い双子。そして、大好きなキャロが立っていた。
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