五番手:エンキ



俺はエンキ。猿だ。
俺には大っ嫌いな奴がいる。そいつの名前はケント。犬だ。文字通り犬猿の仲ってわけだ。
なぜそうなったかって?ことの始まりは数ヶ月前…購買でラストのやきそばパンを同時に掴んだことだ。
互いに譲らないわりに好きなものが一緒になることが多いからよく喧嘩になる。
さらに言えばケントの挑発的な態度が気にくわない。人のしゃくに障るようなことをあんなにも上手く突く奴は初めて見た。

そして、今日も…

「…ケントぉっ!!」
「なんだいエンキくん。」
「お前、今、足引っ掛けやがったな!!」

ケントはクスリと笑う。

「なんの話かなぁ?」
「てめぇ…。」

売られた喧嘩は買うまでだ。握りしめた拳をケントにたたき込むと、ひょいとよけられる。

「っち!」
「あは、知能が高い猿のくせに我慢知らないの?」
「んだと!?」

ギロリと睨みつけると、ケントはただ笑う。あぁ、この笑いが一番ムカつくぜっ!まるで、人を手のひらで転がしてるようなこの表情がっ!!

「てめぇだけだっつの!こんなにイライラすんのはっ!!」
「えー、僕のこと意識されても困るなぁ。」
「そーいう意味じゃねぇよ!!」

回し蹴りをするも、ケントはひょいと避けてしまう。こいつ、避けるのは得意だよな…っ。
気づけばワラワラと人が集まって来た。まぁ、廊下だからしかたねぇ。

「そろそろかなぁ?」

ケントがそうつぶやいたとき、C組の開け放たれた扉から目の前にいる犬とよく似た犬が吹っ飛んで来やがった。

「…!?」
「あれ?」

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