食事を終える頃にはもう登校時間があやうくなっていた。
「っち。行くよケイト。」
「うん。待って、足が痺れ…っ。」
床に正座させたせいか、ケイトが涙目に訴えてくる。ウザい。涙目で訴えていいのはキャロくらいだよ!
「あっ…そ。」
床に転がるケイトをよそに荷物を持って、玄関の扉を開ける。
「あ、よう!おはようラウちゃ…」
閉める。そして、鍵をかける。
「な、なんで閉めるんだよ!!ラウちゃんっ!」
玄関の扉の向こうで叫ぶのは虎のコテツ。僕に好意を抱いてるみたいなんだけど、ぶっちゃけ苦手なんだよね。
「なんで、うちに来てんの……っ。」
「駄目だったか?」
玄関の透けた硝子からコテツが首を傾げたようすが見える。当たり前だけど、かわいくない。ムカつく。
「そうじゃなくて、なんで家を知ってんのって聞いてんの!」
「それは、ケントがー…」
あの駄犬か!!死ね!
ちなみにケントはもう家を出たわけで、今、この家にいるのは僕とケイトとテンコだけ。
僕は居間に戻ると、立ち上がった下僕に命じる。
「ケイト。裏口から出るぞ。」
「あいあいさー…っ。」
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