ぱち、と。
なぜか突然目が覚めた。
窓の外は薄暗く、朝を告げる鳥の声もまだ響いていない。
枕元の携帯で時間を確認すると、4時を少し過ぎたところ。
普段なら起きるなんてあり得ない時間だ。
けれど、二度寝するべく目を閉じるものの、肝心の眠気は全く降りてこない。
そうなれば、逆に寝ようとする方が辛くなってくるわけで。
こうなったら、開き直って起きているしかない。
さて、何をしようかと頭を巡らすが、この時間ではテレビを見るにもニュースしかやっていないだろう。
妙な時間に目が覚めてしまった。

「…ん……」

ふと、隣から聞こえた声。
そちらに視線を向ければ、すやすやと気持ち良さそうに眠る恋人の姿があった。
あぁ、そういえば昨日は泊まりに来ていたのだったか。
自分とは違って寝相のいいそいつは、身長の高い自分達二人が並ぶには少し狭いこのベッドから、器用に落ちることなく寝ている。
外から射し込む淡い光に照らされた顔は、薄暗い部屋の中に浮かび上がるようで。
元々、色は白い方だけれど、今は白を通り越していっそ青白いほど。
そして男女関係なく目を惹く位、整った顔。
きらきらと艶のある金髪も、閉じられた瞼も、鼻も、薄く開いた口も。
全て計算されて作られたよう。
静かに眠る姿は、そう、まるで人形だ。
もしかしたら、このまま目を覚まさないんじゃないだろうか。
そうなったら、どうするかな。
そんな馬鹿なことを考えるほどに、綺麗だった。
そっと、その頬に手を伸ばしてみる。
触れた指先から伝わる熱に、少しだけ安堵する。
そんな自分がおかしくて、笑えた。

「早く、起きろばか」

そのまま指で頬を撫でながら呟く。
すると、

「……ん、ふぇ?青峰っち…?」

頬を撫でていたからか、それとも声をかけたからか、黄瀬が目を覚ました。
まだ眠ぼけているのか、ごしごしと目をこすっている。
こいつは、ちゃんと生きてるんだ。
当たり前のことをこんなことで再認識するなんて。

「あれ?まだこんな時間じゃないっスか。どうしたんスか…?」
「なんでもね。ほら、寝んぞ」
「ぅわっ」

半分起き上がりかけていた黄瀬を、タオルケットを掛けながら寝かせる。
どんなに綺麗だったとしても、ころころ表情を変えるこいつに敵うものなんてないのだ。

お人形
(まるで、それは触れてはいけないような)


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ラジオで聞いたとある曲をモチーフに。
なんか全然変わっちゃったけど;;
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テーマ「人外ファンタジー」
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