───なぁ。





自分の情けない声が響く。


自分でも情けないと思うくらいなのだから、相手はもっとそう思っているのだろう。



「なんで俺らこんなことになってんだろ」
「知るか」


相変わらず殺伐とした返事である。その口調からは不機嫌かご機嫌かはわからないが、ライバル・銀時に組み敷かれているのだ、なかなかいい気分ではないだろう。


だが困っているのは銀時もだった。自分はどうしてこの男を組み敷いている。
──しかも。

ヤツの口が濡れている。

こいつに、キスしちまった。


「あー…えっとー」


何か言おうとしてみるが、なかなか言葉が出てこない。その間にも奇妙な時間が過ぎていく。


そんな中、下からため息が聞こえた。


「邪魔だ、どけ」
「え」


え、とはなんだ、とガンを飛ばされたが確かに退ければいいのか、と思った。


だが。


「──おい、聞いてんのか」

銀時は動かなかった。


「なぁ、土方…」


彼──土方は眉をひそめた。


そこで銀時は、あ、と思った。
自分が土方にキスをした理由が、わかってしまった。


「───なぁ、土方」



俺、お前のこと好きみたいだ。



そう言うと、土方は少し目を見開いたが、特に動揺した様子は見せなかった。



「どけ」


土方は静かに、何もなかったかのように言った。


「土方…」
「どけっつってんだ」
「お前は、どうなの」


声が震えてしまった。あぁ、聞いてしまった。



「俺のこと──嫌い?」




答えてくれよ。




「それとも、好き?」









答えてくれよ、土方。







返事はない
 
 
 
 
 






****************







お題2こめです。




今度この続きを土方目線で書きたいです^^




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