───なぁ。
自分の情けない声が響く。
自分でも情けないと思うくらいなのだから、相手はもっとそう思っているのだろう。
「なんで俺らこんなことになってんだろ」
「知るか」
相変わらず殺伐とした返事である。その口調からは不機嫌かご機嫌かはわからないが、ライバル・銀時に組み敷かれているのだ、なかなかいい気分ではないだろう。
だが困っているのは銀時もだった。自分はどうしてこの男を組み敷いている。
──しかも。
ヤツの口が濡れている。
こいつに、キスしちまった。
「あー…えっとー」
何か言おうとしてみるが、なかなか言葉が出てこない。その間にも奇妙な時間が過ぎていく。
そんな中、下からため息が聞こえた。
「邪魔だ、どけ」
「え」
え、とはなんだ、とガンを飛ばされたが確かに退ければいいのか、と思った。
だが。
「──おい、聞いてんのか」
銀時は動かなかった。
「なぁ、土方…」
彼──土方は眉をひそめた。
そこで銀時は、あ、と思った。
自分が土方にキスをした理由が、わかってしまった。
「───なぁ、土方」
俺、お前のこと好きみたいだ。
そう言うと、土方は少し目を見開いたが、特に動揺した様子は見せなかった。
「どけ」
土方は静かに、何もなかったかのように言った。
「土方…」
「どけっつってんだ」
「お前は、どうなの」
声が震えてしまった。あぁ、聞いてしまった。
「俺のこと──嫌い?」
答えてくれよ。
「それとも、好き?」
答えてくれよ、土方。
返事はない
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お題2こめです。
今度この続きを土方目線で書きたいです^^