イシソツウ計画



東条男鹿


「すき」
「えっ」
「焼きが食いたい」

べただ。べたすぎる。反応したこっちが恥ずかしいんだからどうしようもない。くそ、と言わんばかりに顔を引き攣らせると、完全に小ばかにしたような笑いが返ってきた。やられた。

「おう、じゃあ食うか」
「やりぃ」

お返しだ と言わんばかりに左手を掴む。男鹿の手は意外と小さい。自分がでかくてよかったな、と思う。離せ、と逃げていた手に目一杯ぎゅう、と力を入れると諦めたように静かになった。
まあいいか 幸せだ。




男鹿東条


何が食いたい、と聞かれけど残念ながらからかう言葉しか出てこない。ごめん単純頭脳で。
「すき」と言ったら案の定「えっ」みたいな反応をされた。ああそうだ こいつも単純だった。笑いを堪えて言葉を繋ぐ。

「焼きが食いたい」
「おう、じゃあ食うか」
「やりぃ」

何事もなかったかのような顔をして、手を掴まれて思わず心臓が跳ねる。ごまかすように、ばたばたと逃げるように動かした手をぎゅう、と握られてどこか安心する。この強さが心地好くて好きだ。絶対言わないけど。
しょうがない、繋いどいてやるよ。