脆弱


「んで、どうした?ふられたか」
「こらっ男鹿!お前少しは、」
「なんだよ古市。はっきり言われた方がスッキリすんじゃん」

男鹿くんはソファの上に寝転がって、ジャンプを読みながら僕に話しかけてきた。はっきりしすぎた問いかけに、首を縦に振ることしか出来なくて少し泣きそうになる。結果はわかってた。だってあの子は男鹿くんが好きだったから。もちろん、そんなこと君が知るはずないけど。

「泣くなよ、死ぬわけじゃねえんだし」
「お前は…もうちょっと優しい言い方出来ないのかよ」
「…んー」

男鹿くんは、考えるそぶりを見せながらジャンプを古市くんに渡して、両手を広げた。僕が言うのもなんだけど、細いなあ と思う。
男鹿くんは男は口より行動だろ?と笑う。腕は伸ばされたままの腕は確かに、僕の方へ向いている。

男鹿は優しいよ、一緒にいないとわからないけどさ。と、古市くんが静かに呟いたのはいつのことだったかなぁ。
古市くんのソファは占領するし、だいたいそのジャンプだって古市くんのだ。人は殴るし土下座が好きだ。なのになんでだろう なんて、そんなのは愚問で。泣きそうになる。なんでそんな自由に生きれるんだろう。

「ほら、胸ぐらい貸してやるぜ?高くていいんなら」

ソファはぎしりと音を立てて沈んだ。