3


「だ、旦那さんですか?」

あれから、一応女性を本家に連れていき詳しく話を聞くことにした。だけど、この人自分の家のように寛いでるぞ。

「そうなの。私、ほら死んじゃったじゃない?旦那への思いが強すぎちゃったらしくてまだこの世に留まっちゃってるの。」
「え、あ、あぁ。そっちの方ですか……。でも、旦那さんを見つけるって。」
「私さ、旦那と喧嘩した後に車に轢かれちゃったんだよね。それで、気付いたらこうなってて。それから、ずっとあそこら辺をフラフラしてたんだけど旦那は来ないし自分の状況も分からないしって状況になっちゃったんだよ。そこに、君たちが来たわけさ!これは、協力してもらうっきゃないでしょ!」

ビシッと指でさされてきょとんとする。横で父さんの肩が震えているのが分かる。

「ぶっははあはははははっ!!いいねぇ、あんたその心意気。気に入った。探してやろうじゃねぇかその旦那をよぉ。」
「ちょっ!父さん!何言ってんの。そんな手がかりも無いような人探せるわけ…。」
「手がかりなら結構ある。まず、名前はわかるだろ?」
「ええ。鯉人、皇鯉人です。鯉に人って書いてりひと。」
「んで、あんたはここ最近事故に合ったんだよな?」
「多分。その辺が少しあやふやですけどここ1、2年の間に合いました。」

ほらな、と自慢げに笑ながら俺を見つめる父さん。例え、手がかりがいっぱいあって、旦那さんを見つけてこの人を連れて行ってどうする。あちらはこちらが見えないし感じられない。そんなの連れていった方がこの女性にとって、酷だ。
もしかしたら、この女性の事を忘れて他の女性と付き合っているのかもしれない。幸せな家庭を築いているかもしれない。その苦しさにこの女性は耐えられるのだろうか。

「私、あの人が私のこと忘れててもいいの。ただ、最後に一目見て成仏したいなって…。だから、ここに残っちゃってるんだけどねぇ。」

少しだけ苦しそうにいう女性。そりゃあそうだろう。だけど、それでもいいという。自分は苦しくても無いもないと笑う。その姿が母さんに似ていて、どうしようもなく苦しかった。助けたかった。

「……分かりました。皇鯉人さんを探します。そして、貴方に合わせればいいんですよね?」
「うん!ありがとう!えっと……名前なんていうの?」
「そういやぁ、名乗ってなかったな俺ら。俺はぬら組2代目総大将奴良鯉伴だ。」
「俺は奴良名前1です。」
「私は皇乙!乙女の乙で、おと。よろしくね。」


元気の良さは若菜さんみたいだ。
思わず笑ってしまった。それを目をキラキラさせながら乙さんが見てくる。

「な、なんですか?」
「んーん。なんか、名前1君が笑った顔って鯉伴さんに似てるなーって思って。」
「そうですか?」
「あー、照れてる!顔真っ赤だよ?可愛ーな。」




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