どうにでもすれば
たぶん、それは若気の至りというやつで
色々とシンドバッドやジャーファルが話を進めるけれど、俺には何の話をしているのか皆目検討もつかない。まあなんか盗賊団の話をしているからそれをやっつける話なのだろう。どうせ俺は戦えないから聞いても意味無いからいいんだけど。
「じゃあ、話はまとまった訳だがどちらの屋敷にどの組み合わせで行こうか。なあ紅陽。」
「え?俺も行くんですか?戦えないんですけど。」
そう言ったらすごい顔でシンドリア国の3人に見られたんだが。え。なに?俺って本当は戦えるの?
「お前は金属器を持っているじゃないか。」
「は?あー、この針ですか。そういえば何の為に使うのか知らないです。」
針を出したら今度はアラジン達に驚かれる。俺最近驚かれすぎ。うーん。戦えたら戦えたで面倒臭いけど自分の身は自分で守るスタンスでいけばいいのか。
「まぁ。多分、戦えるということで俺も入れてもいいですけど期待しないで下さい。今の私は女でありますから。」
「紅陽お兄さんはお姉さんだったの!?」
「アラジン、違います。紅陽さんはただ、女装をしているだけです。」
声色を変えて話すとアラジンが飛び上がる。その際俺の胸元に飛んでこようとしたので叩き落とした。モルジアナはいい子だ。うん。この子に何かあったら守ろう。
「よし!決めた。俺とマスルールと紅陽が貴族の屋敷。ジャーファルとアラジン、モルジアナが豪商の屋敷だ!」
「え、俺シンドバッドさんと一緒なんですか。」
「異論は認めん!」
「はぁ。じゃあちゃんと私を守ってくださいね、シンドバッド王?そういえば、私貴方のお仲間を紹介されてないわ。コレじゃあ誰が誰か分からなくて倒してしまいそう。」
知ってるけどね。内心爆笑しながら顔は困っておく。もう女子に成りきってやる!役を演じるのは得意だから。シンドバッドが俺に惚れれば楽なんだけどこいつはそう簡単に落ちないからな。早くこのバルバッドの件を終わらせて俺の中にある俺が知らない記憶を俺自身で突き止める。
「そうだった。赤髪の大きい方がマスルール小さい方がジャーファルだよ。」
「よろしくお願いします。」
「っす。」
「こちらこそよろしくお願い致します。なにぶん記憶が無いもので作法が至らないならば申し訳ありません。」
右手を握り左手を開いたまま右手に付け胸の前に掲げる。体が勝手に動いた。これは、煌帝国の挨拶の仕方ではなかったか?違ったっけ。まあいっか。
体勢を崩してソファに横になる。そして長い髪を弄りながら思ったことを話す。
「ただ、俺にはこの怪傑アリババって奴は何処か他の霧の団とは違う様に思えるんですよね。うーん。こいつが来てから霧の団って変わったんでしょう?しかも、王たちが忌み嫌う方へと。ともすれば、王族に情報を流している奴がいてアリババと関係者とか?」
ソファの上でゴロゴロしながらそんな事を言うと皆黙ってしまった。ただの俺の意見だからそんなに真剣に考えなくても。余りにも皆が黙るもんだから眠気が襲ってくる。どうせ夜出るんだから今寝てもいいはすだ。
「おやすみ……。」
ソファ柔らかくて天国だわ。なんで、あっちの世界にはこんな柔らかい布団がないんだ。