一線を越える

たぶん、それは若気の至りというやつで


「あ、れ?ここは?」
「迷宮からもどる途中ですよ。紅陽さん。」

まだ霞む目を擦りながら周りを見たわすと確かに迷宮からの戻り道だった。
ゆらりゆらりと軽くゆれながら周りをまた見回す。すると、ザガンと目が合った。

「あ。」
「やぁ。紅陽君?お目覚めかい。」
「ええ。まぁ、そうですね。色々とはた迷惑な迷宮生物がいたもんで。……ですが、ありがとうございます。」
「は?」
「貴方の未来を白龍に託してくれた。これからの苦労を白龍と共に背負ってくれると誓ってくれた。それだけでいいんです。それだけで俺は嬉しいんです。俺にはできなかったことだから。」


ふっと笑うとザガンが息を飲んだ。なんだろ。まぁ、どうでもいいか。とか思っていたら急に体から魔力が抜けていく感じがした。

「ちょっとぉ?俺のことぉ、忘れてないぃ?」
「ちょ、シトリー!一々、抱きつかなくていいから!」
「だってぇ、最近触れてなかったしぃ?」
「そ、れはゴメンって。」
「ねぇ、なんで、首筋に歯型なんてついてるの。」
「え?」
「ここにほら、くっきりついてる。俺が見てない間に何があった。」
「知らない。本当にしらないって!」

シトリーに触られざわざわする。この跡を誰にも触らせてはいけない気がする。いやだ。触るな。やめろ。

「やめろ。
そなたらはそれほど迄に出来が悪いとは思わなんだ。まぁ、ここらで見限る手もあるが我は今気分が良いのだ。ここから消えろ。それで手を打ってやる。……聞こえなかったのか?今すぐ消えろ。」

我の声を聞くとすぐに消えて行く。聞き分けがいい奴は好きだ。さて、残りはこのガキだが。ここでの記憶を消すのが早いか?

「おいガキ。」
「紅陽、さん?どうしたんですか…。」

ガキが怯えた顔で我を見る。良い。その顔だ。その恐怖に染まった顔が我をそそるのだ。もっと見ていたい。あぁ、涎がとまらない。どう痛ぶってやろうか。


手を伸ばしかけやめた。まだ早い。我が落とすにはまだこの子供は早すぎる。早く自らの意思で落ちてこい。そうしたら我が直々に可愛がってやる。
こんなクソッタレな世界から隔絶してな!

「紅陽さん!」
「………あれ。俺、今何やってた?」
「紅陽、さんですよね?」
「え?うん。紅陽だけど。」
「………急に倒れるのでどうしたのかと。」

うん?俺、倒れたのか?よく分からない。だけど、白龍がそういうからそうなのだろう。怖いなぁ。急に意識が無くなるなんて。

「あ、もうそろそろ出口なんじゃない?光が見えてきたし。」
「ええ。」

なんか、俺ばっかりがはしゃいているような感じがするんだけど……。
ま、いいか。今回は白龍が金属器を手に入れられただけでも僥倖だ。



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