宵の明星

Step.96 1


ゴールデンウィーク


「さぁ…みんないいかな…?それで…

よし…いくぞ!!せーの!!」

バーーーーン

「ぐああああまた負けたぁぁ」
「くそーまたリクオと花開院さんの勝ちかよ」
「ちくしょー持ってけよ…賭けたお菓子もってきゃいいだろー!!」

宵達は新幹線に乗りながら清継の考えた『妖怪ポーカー』をやっていた
といっても宵はその様子を見ているだけだ
そして時おり携帯を見てはため息をついている

「あ、そーだぁ私ずっと気になってたんだけどそのお兄さん誰?」
「あ、巻も思ってた?実は私も気になってたんだよね!」

巻と鳥居が宵を指差しながらいう
それにきょとんとした顔を一瞬見せその後、微かに微笑む

「俺はそこにいる氷麗の兄で月夜
気軽に月さんって呼んでくれ
今回はまあ保護者的な感じか?そんなんで着いてきてるから俺の事は気にせず楽しめよ」
「みんな!そんなことよりも捩眼山伝説を知っているかい!」

自分の自己紹介をそんなこと呼ばわりされ眉を潜めたが携帯の着信を示すランプにため息を1つ
先程から鯉伴から定期的にメールが送られてくるのだ
どうでもいいことばかりが
やれ、あれはどこに置いただの、腹が減っただの色々とこの場にいる宵には何も出来ないことまで送られてくる

「いい加減にしてくださいよ本当…」

またため息をはき、ちらりと窓の外をみる
すると、青田坊達がバイクで走っており目を見張るその様子に仄かに笑ったあと目を閉じ眠りに落ちていった


***

「……ん、……きさん!月さん!起きてください、着きましたよ」
「ん、もう着いたかわりぃリクオさ……リクオ」

寝ぼけた頭で自分を起こした人物を確かめると思わず何時もの口調が出そうになるが、直ぐに今の状況を思いだし直す

「スッゴい山奥なんだね捩目山って」
「そうですね、この山を越えたらもう奴良組のしまではありません
その事をお忘れなきようお願いしますねリクオ様」

ぼそりと耳打ちした方が宵は女子の荷物とリクオの荷物を持つと新幹線を降りていった

「牛鬼……お前の好きにはさせねぇぞ」
「ん?月さんなんか言いました?って!私達の荷物!すみません自分で持ちます!!」
「ああ別にこれくらい良いって
男なんだから当たり前だろ?」

にっこりと笑って宵が返すとカナは顔を真っ赤にさせ黙った
当の宵の顔は笑いながらも目は笑っておらずこれから向かう山の方を睨んでいたがカナは気づかない


「清継だっけか?道どっち…」
「あっちだよ!月さん!僕に付いてきたまえ!」

白けたように清継を見た宵は欠伸をしながらついて行った


***

一時間後

「なんだよ〜〜〜〜ず〜〜〜っと山じゃんか!!」
「当たり前だ!!修行だぞ!!」
「足いたいー
うう…本当にこんなところで待ち合わせなの〜〜〜」

宵達は山の中を歩いていた
ふとゆらが何かを見つける

「うん?なんやろ…あれ…」

ゆらが指差した方向にはなにかがある
宵はそこに『梅若丸』と書いてあるのが見えた
そして、そこに居る操り人形と化している人間も
宵はそっとその場を離れると、山の奥の方に向かって行った



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