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あれから俺は部屋で休ませて貰った

ベットに体育座りで座り、壁に頭をつける

『死ぬ…のはまだ先だと思ってたんだけどな』


もっと、ラビと入られるかと思った
本当はずっと、一生、ラビの側に居たい

だけど、そんなの無理なことは分かっているし期待もしてない

せめてこの気持ちだけでも伝えておくべきか?
そんな事をしたらラビが迷惑に決まってる


『あーぁ、堂々巡りだなぁ……

諦めればいいのに…

ただ護って死ねれば最高の死にかただろう?』


自分に言い聞かせるように言っても心は納得しない
ふぅ、とため息をついて窓の外を見た

そしたら、ラビがトランプを見上げていた

それを見ただけで嬉しくなる俺はもう堕ちるところまで堕ちたんだ


ラビの側に行こうと部屋を出た


『ラ……』

ラビに声を掛けようとしたとき悪寒がはしる
冷や汗が背中を伝う
思わず叫んでいた

『伏せろラビィィイイ』

ラビの前に飛び込んでミランダのイノセンスを発動させる

アクマからの攻撃を一瞬止めてラビを安全な所へ投げた

その代わりに俺がもろに攻撃を受ける

『ぐっ…』

頭がぐらぐらして立ってられない
でも、ラビが怪我をしてないならそれでいい

でもミランダのイノセンスはまだまだ弱いな
数秒止めるつもりが一瞬しか止まらなかった
強くなればとても使えるイノセンスになる


《題名"エクソシストの屍"》

「刧火灰燼  直火判!!!」

ラビすげぇ
でも、あれはLv.3だ
そう易々と壊れない

ラビがアクマに投げ飛ばされた

『ラビ!!おいアクマ…
てめぇ何やってくれてんだ
ラビを投げるなんて、殺す!!』

アクマがこっちを見たけど何故かラビが飛んでいった方に向かった

まずい……
寄生型じゃないエクソシストは生身の人間だ
攻撃を受けたらひとたまりもない

急いでラビの元に向かうけど間に合わない

アクマの姿が見えたその先にあったのは正に今、殴られそうなラビの頭

『やめろ……やめて!!』

それ以上の光景を見ていたくなくて目を瞑った
だけど、叫び声も音も何もなかった

恐る恐る目を開けるとラビを殴ろうとしていたアクマの拳はブックマンの針で防がれていた


死んでない
良かった……
もしラビが死んでいたら俺はもう生きていけない
アクマを捕まえて何かを聞き出そうとしているブックマンには悪いけど止めをさそう

俺が動き出したとたんにアクマもブックマンを連れて動き出した

『なっ…』
「じじい!!」

ラビは槌を伸ばしてブックマンを助けに向かった
それにしても、さっきから何か重い
この船全体が何かに押されているような……

「晃也!船の皆を守ってて!!
私はアイツを倒す」
『おい!一人じゃ無理だ
あいつはレベル3だそ!』
「今、アイツと戦えるのは私しかいない」

走っていったリナリーの目は決意に満ちていた
けれど、その目はとても脆い

だけど、今はリナリーの意思を尊重しよう
まずは船員達を守らなければ

振り向いたら船は白い閃光に焼かれていた



『なっ……くそ上かっ!』

これじゃあミランダが危ない
ミランダのイノセンスは自分自身を守る術を持たない

走ってミランダを探すけど人が入り乱れていてなかなか見つけられない

『ミラ……っ!』

見つけた!
だけど、今にも閃光が当たりそうになっていた

『発動!偽花弁!くそっ間に合えよ』

リナリーのイノセンスを出してミランダの元につくと覆い被さった


今、ここでミランダが死んだらラビに傷が戻ってしまう
それだけは駄目だ

アクマの攻撃に耐えるように目をぎゅっとつぶった

どんっという大きな音はしたのに何も体には異常はない
目を開けて、見えたのは数人の船員達

『お前らなんで…』
「大丈夫かいエクソシストさんがた…」
「あなた方…!!どうして…
撃たれたら時間が戻った時…」
「何、さっきからもう何発も喰らってまさ

わしら死亡決定組です」
「どうせ助からんのならあんたがたの盾になります」


神は無情だ…
死ななくて良かった人達までも殺してしまう
あぁでもそれを言うなら、俺達は死神か…
俺達に関わってしまったせいで死ぬ人間がいる

『俺の盾はいい
その代わりミランダを頼む

お前らが助けてくれたこの命、無駄にはしないから……』

泣きそうだ
でも、こんなとこで弱気な姿を見せちゃダメだろ

『死ぬと分かって弱くなったかなぁ


神よどうか貴女に心というものがあるのならこの者達をどうか安らかに……』
「晃也君?」
『柄に合わないことするもんじゃねーな
じゃあ、いってくらぁ』


ラビも戻ってきたし、俺達はお空のアクマの相手だな


『イノセンス発動


ー偽花弁ー

銃よ、来い』

ここで挫けたら終わりだ

どうせ死ぬなら全力で戦おうじゃないか



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