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主人公side

俺を担いだ男は鼻唄を歌いながら森の中を歩く

「お、あそこか」
『何、が…』

男が目指す所に行きたくない
あそこに行ってしまえば絶対に良くないことが起こる

『やめろ…っ行くな…
あそこには行きたくない!!』
「そんなこと言われてもね
俺も、仕事なんだ」

男はどんどん歩き近づいていく
あぁ、くそなんで動けない…
動けたらこいつをすぐに殺すのに

「お、着いたか」

あぁ着いてしまった
嫌な感じが辺り一面に充満していて吐きそうだ

「んじゃ、お前はここで待ってろ
特等席だぜ?なんせお仲間の死ぬところを正面から見られるんだから」

狂ってる
そう思った
何故、人が死ぬことをそんな笑顔で言うんだ

「よーく、見てろよ?友達の死を」

顔を動かされて後ろを向いている人物を見せられた
あの後ろ姿は……
"白髪"の人物は何かに向かって話かけていた

「ティムキャンピー……」

やっぱり、アレンだ
逃げろと叫びたい、だけど叫べない
男はアレンにゆっくり近づいて行きあと少しの所で止まった

「バイバイ、スーマン」

男がそういった瞬間何かは弾けとんだ
その何かは肉塊
人の肉塊―――――

ぺちゃっと頬に何かが付いた
それはいわずもがな人の肉塊の一部…

「ノ…ア」
「おいで、ティーズ」

男がそう言うと飛び散った血や肉塊の中から蝶が出てきた
蝶達は次々と男のてのなかに入っていく

「まあまあデカくなったかな」

アレンをここから逃がさなきゃいけない
あの男は絶対にアレンを殺す気だ
アレンを死なせちゃダメだ
だって、
千年伯爵を殺してくれない
そしたら、ラビが辛い目に逢わなくちゃいけなくなる
体もそろそろ動かせる
あの男を殺せば、アレンは死なずにすむ
さぁ、人狩りを始めよう


男とアレンが話していて俺から気がそれている内に背後から近づく

「お前…!?何した…っ」
「…………はれ!?お前…っ
イカサマ少年A?」
「は?」
「ああいう、そっか
今のオレじゃわかんないよな
てか、お前もしかして"アレン・ウォーカー"だったりするの」

アレンが男を殴る
まだだ、まだ行くな
もっと絶好のチャンスがくる

「ふざけるな
スーマンに何をした…っ!?お前が殺したのか

答えろ!!!」
「はは…そりゃ敵なんだし殺すでしょ?」

今だ…
俺は発動していたイノセンスで男に斬りかかった

『じゃあ、俺が今お前を殺しても文句は言えないな』
「危ないなぁ
まず、君からやった方が良かったか…
少年、オレの能力教えてやるよ」

今の一撃で、体力を消耗してしまった
くっそ…
なんで、こんなに疲れる
目の前に敵がいるのに!
思わず、膝をつく
男はそんな俺を見るとアレンの横に座ってタバコを吸いはじめた

「こいつは"ティーズ"千年公作の食人ゴーレムだよ
蝶のところはあの人の趣味な
こいつらは人間を喰う程繁殖して増えていく
でも、これはこいつらの能力であってオレんじゃない
ティーズはただの道具
オレの能力はこれ」

トンっと胸に何かが当たった気がした
目の前には男がいて、その男の手は俺の胸元に伸びている

「晃也!!」
「大丈夫、痛みは無いよ
オレが"触れたい"と思う物以外オレは全てを通過するんだ」
『なんの真似だよ…
今更、俺を殺すか?さっき生かしておくとか言っていた癖に』
「いや、お前の体は殺さねー
オレが取るのはお前の魂」

体の中で何かが捕まれている
それは心臓でも無い
なにか得体のしれないものが体から取り出されていく

『っ…!くっそ、やめ――』

体から手が完全に抜けた
その手には光っている物が握られていて…

「晃也―――!!!」

玩具が倒れるように俺は地面に倒れた
アレンが何かを言っている
でも、聞き取れない
体も、動かせない
その時、フワッと何か温かいものに包まれた感じがした


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