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主人公side

暗い闇が広がっている
ここは、前にきた暗闇とは比べ物にならないくらい怖い

まるで、頭の中に殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せと言われ続けていて洗脳されているみたいに

まるで、じゃないか…
言われ続けてはいないけど、延々と頭の中に人が殺される映像が流れ込んでくる
殺しているのは言わずもがな自分で
普通こんなの見せれたら狂ってしまう

だけど、俺はその光景を見て楽しんでいる
あ、あは、あはは
もう、俺は狂っていたのか……

プツンと映像が消え意識が何かに引っ張られる感じがした

起きるのか……

目を開けると赤い色が目に飛び込んできて思わず目をつぶった

「あぁ、起きたか」

誰かの声がして目を恐る恐る開けると色が黒く、シルクハットを被った男が俺を見ている
その目が怖くて後ずさろうとしたけど、身体が指先でさえ動かなかった

『誰…?』
「おいおい、忘れたのかよ?やっぱり魂は同じでも記憶は受け継がれないのかね」

また、何かを話そうとすると口を口で塞がれた

『んぅ!?やめ…はっんんん』

最後にちゅっと音をたてて離れると男は唇を嘗めながら言った

「少し静かにしてろよ…
今スッゲーいいところなの」

キスされた
キスされたキスされたキスされたキスされたキスされたキスされたキスされたキス………

ぁああああ゛ぁ゛あ

もうダメだもう終わりだ

汚れた汚れた汚れた汚れた汚れた汚れた汚れた汚れた汚れた汚れた汚れた汚れた汚れた汚れた汚れた汚れた汚れた

『ぁぁぁぁ………』

すぐにでも目の前の男を殺したかった
でも、俺の体は動かない
すぐにでも吐き出したかった
でも、俺の体は動かない
すぐにでも死にたかった
でも、俺の体は動かない
ただ、涙を流すことしか今の俺には出来なかった




あれから、どれぐらいの時間がたったのだろうか
最初に赤々と燃えていたのもだんだんと消えてきている

「そろそろかなぁ
んじゃま、いきますか…」

なんか独り言を喋ったと思ったら俺を俵担ぎに担ぎ上げて運ばれた

『さ、わんじゃねぇ…』
「何?君まだ抵抗するわけ?
あー、君があいつの魂持ってなきゃすぐにでも殺すのに…
君を見てると嫌なこと思い出す」
『てめ、ぇのことなんか知るかよ…
っあぁ』

よいしょっとか言いながら反動つけて持ち直しやがった
いてぇ……

なんで俺がこんな目に合わなきゃいけないんだよ
助けて助けて助けて…

ラビ――――


***



晃也がまだ、闇の中に意識がある頃アレン達はスーマンを助け出そうとしていた
アレンとリナリーはスーマンの顔がある部分に近づく

「スーマン!」
「待って、リナリー!この穴には踏み込まない方がいい」
「スーマン!私だよ!リナリー!わかる!?今、助けるから
スーマン…………!?」

リナリーが必死になってスーマンに呼び掛けるが返事はない

「引きずり出そう!」

アレンがスーマンに向かって手を伸ばし引きずり出そうとしたとき少女が出てきた

「たすけて…おかあさん…どこ…?たすけ…」
「うおぉおぉぉぉお!!」
「ア…っ」
「この子を…」
「アレンくん!!」

また、飲み込まれそうになる少女をアレンが引っ張りあげ、スーマンから切り離したが今度はアレンが飲み込まれてしまった
スーマンの中に入ったアレンにスーマンの感情が入り込んでいく

「うあああああ…やめて…!!
頭が潰れる…
やめろぉぉおお!!」

スーマンの感情の中にある少女が映ったのをアレンは見た

「スーマン…あなたは…
あなたは…戦いを放棄して、悪魔に…命乞いをした…………
神を裏切ったんですね………」

リナリーはアレンから託された少女を抱き締めながらアレンが飲み込まれた近くにとどまっていた
その間にもアクマの攻撃は続く
さらに、リナリーは少女が息をしていないことに気付き意を決してそこから離れた
スーマンはアクマを消そうと光線をうつ
中にいたアレンはスーマンが悲鳴をあげているのを聞いた

「これは…悲鳴…?
スーマンが悲鳴をあげているのか…!?
苦しんでる…!?」

アレンは考えた末にある答えにたどり着いた
イノセンスがスーマンを殺そうとしている、と
罪人を裁く神のように

「そんなことやめろ…
やめるんだイノセンス!!
仲間を…っ
殺すなぁあああぁあ――――っ!!」

アレンはイノセンスを発動した
何かが割れそこにはスーマンのイノセンスがあった
それを見たアレンはスーマンの中から弾き飛ばされた
だが、アレンはイノセンスを巨大化しスーマンの元へ戻る

「スーマン!!死んじゃダメだがんばって!!
今、そこから出しますから………」

アレンが、スーマンを引きずり出そうとすると電気が走った

「ぎゃぁああ!ゴボッ」

スーマンは、その痛みに叫び血を吐く

「だれだ…そこにいるのはだれだ…」
「スーマン……!!」

アレンはスーマンが喋ったことに笑みを浮かべた
だが

「呪われろ…
呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ

神も使徒も何もかも呪われてしまえ…!!
すべて…

壊れてしまえ」

スーマンは呪いの言葉を吐き続け、そして傾き動きはじめた
動き向かった先には
村があった

「止まるんだ…スーマン!!」

アレンはどうにか止めようとスーマンを引きずり出そうとするが電気がスーマンを苦しめる

「ぎゃぁああっ
やめろ…このくそエクソシストが!死んじまえ!!」
「ごめんなさい
でも、このままじゃあなたはあの村を破壊する…!!
そんなことダメだ
僕らは人を守るために戦ったきたんじゃないんですか!」

アレンがスーマンを諭そうとするが、逆にアレンが手を噛まれる

「痛っ…」
「だまれ………」
「目を覚まして下さい!!
スーマン!僕が必ずあなたをイノセンスから助けます
だから、止まってくださいっ
犠牲を出しちゃダメだ
がんばって!!」
「死ね」

スーマンの噛む力はますます強くなる

「…っ破壊すればする程あなたの命は食い潰される…」
「死ね」
「がんばってくださいスーマン…っ
必ず助けるから
死んじゃダメだ!!!」

アレンが叫んだ時嫌な音がした
それは骨が断ち切れる音

「だまれぇえええええぇ――――!!」

スーマンは怒りに任せ光線を放ち山にぶつかった
その反動でアレンは飛ばされ海に落ちた

「ぐあ…っスーマン!」

スーマンは町に向かい光線を放つ
口からは血が垂れていた
海に落ちたアレンは陸にあがるとイノセンスを発動した

「発動最大限解放!!!」

アレンの腕は巨大化していきスーマンを押さえる

「行かせるもんか…死なせるもんか!!!」

ただ、助けるために
アレンの頭にはそれしかなかった




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