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船に乗り込み荷物を運ぶのを手伝いながら昨日ラビから教えてもらったアニタさんが言った言葉を思い出していた

「八日前、旅立たれたクロス様を乗せた船が海上にて撃沈されたと申したのです
救援信号を受けた他の船が救助に向かいました
ですが、船も人もどこにも見当たらずそこには不気味な残骸と毒の海が広がっていたそうです」
「師匠はどこへ向かったんですか
沈んだ船の行き先は、何処だったんですか?
僕の師匠はそんなことで沈みませんよ」
「……………そう思う?
マホジャ
私の船を出しておくれ
私は、母の代より教団のサポーターとして陰ながらお力添えしてまいりました
クロス様を追われるのなら我らがご案内しましょう
行き先は日本――――江戸でございます」

江戸、ねぇ
俺は日本人だけど日本で生まれてはないからな
特に何も思わないけどしいていうならあそこは出来れば行きたくないな
気味が悪い
何も中の情報がねーし

「みんな!!アクマが来ます!!」

アレンの声で思考の渦から浮上する
空を見上げれば夥しいほどのアクマがいた

『行き先悪ぃーな…』



「なんて数なの!!!
迎撃用意!総員武器を持て!!」
「オレらの足止めか!?」
「ウウ歯が疼く…!!」

あっははー
皆、やる気になるの早いなぁ
ラビもやる気みたいだからやるけどさ
アクマももうちょっと空気読めよな

さて、誰のイノセンスを使おうか…
遠距離戦だし…
クロス元帥、のは嫌だな
あの人の使うとめっちゃ体力使うし
そういえば、デイシャの確かボールだったよな!

『よし、イノセンス発動……』

ボールが足の近くに出て、こない

『なんで、出てこない?まさか…』

あぁ、知っていたじゃないか
この世に神なんかいないって……
あまりにも無情すぎる
人ってなんだ
使徒ってなんだ
神ってなんだんだよ

涙が下に落ちない様に空を見上げればあるアクマと目があった
近づいてくる
何も、反応出来なかった俺は殴り飛ばされ落ちる直前に持ち上げられた

『かはっ…げほっ』
〈おいおい、こいつもしかして伯爵さまが言ってた奴じゃねー?〉
〈うわーホントだ!!いいなぁお前〉
『何が、したいんだ…お前ら』
〈うるさいなぁー
早速近くのノア様の所にもってこー〉
『あ、ぐっ』

首筋をガツンと殴られそこから意識がなかった



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