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「「『・・・・・・』」」

さっきから、クロウリーが鬱陶しくて寝れないだけどいや、声を出して泣いてるわけじゃないけど雰囲気が鬱陶しい

「そんな落ち込むなってクロちゃぁーん
しょうがねェだろ
いくら説明しても信じてくんなかったんだから」
「だが・・・っ」

まぁ、クロウリーの言いたいことも解らないでもない
こっちは死にそうになって戦ってたのに化物なんだと言いやがって
しかも、ラビの事を化物って言った
思わず、村長に回し蹴りをしてしまった俺は悪くない

「まあ、気持ちはわかりますけどね
さすがに僕もムカッときましたよ」

話してたらあの村長達の顔思い出してきた

『あぁ〜!あの時もっと殴っとけばよかった
顔面ぐちゃぐちゃにして、でも意識はなくさない様に殴って嬲っとけば・・・!』
「晃也・・・
それは、やり過ぎさ
いいじゃん帰れんでも
男は胸に故郷がありゃいいんさ」

やっぱりカッコイイな、ラビは

「気晴らしに汽車ん中でも見てきたら?
乗ったん初めてなんだろ?」
「う、うむそうであるな
ちょっと行ってくるである」

やっと、行った・・・
これで、寝れる

『寝るから、着いたら起こして』
「あ、はいわかりました」

目を閉じたらすぐに闇に落ちた


***


ゆらゆら揺れる

まるで海の中にいるように
ゆらゆらゆらゆらゆらゆら

ちょっ、待って吐く!

『うわっ!』
「やっと、起きたさ晃也
中々起きないから苦労したさ」

どうやら俺はゆさられてたらしい
どうりで吐きそうになったわけだ

『どうした?
駅に着いたって訳でもないし』
「あれから3時間たつんですけど
クロウリーが戻ってこないんですよ」

ああ、だから起こされたか
まぁ寝れたからいいけど

『よっと…
でも、この汽車の中で3時間…』

勢いつけて立ち上がり首をまわす
首がゴキゴキいってる

『んじゃ、行くか』
「クロちゃんやーーい
こんな小せぇ汽車回んのにどうやったら3時間もかかるんさ」
「まさか迷子・・・?」

まさかな、アレンじゃあるまいし

ガラッ

寒っ
風が冷たい

『ぶっ、どうしたの?ラビ
寒いから早く汽車の中入りたいんだけど』

ラビが急に止まったから中に入れないし、中の様子が見えない

「あ、悪ぃ」

暖かい…
生き返る

「このコートの装飾全部銀でできてるんです
これとクロウリーの身包み全部賭けて僕と勝負しませんか?」
「お、おいアレン!?」

何?
良くわかんないだけど見る限りクロウリーカモられたか
で、アレンがコートを賭けて勝負しようと言ったみたいな?

「はは・・・いいよ」

俺はこの時初めてクロウリーをカモっていた人物を見た

『・・・っ』

なんで、足が震えるんだ
なんで、泣きそうになるんだ
なんでなんで
なんで――――
こんなに胸が苦しいんだ






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