26


フッと意識が戻ると俺は瓦礫の上にいた
回りが、俺が意識失う前と随分変わっている
音が聞こえる方に顔を向けると、ラビとクロウリーが戦っていた

『・・・ラビ!
やべぇ、こんなことしてる場合じゃなかった』

急いで立ち上がろうとする

『い゛ったぁあ!
くそっ、右足捩ったか?』

右足に鈍い痛みが生じる
それでも、ラビの元に急ぐ
君を傷付けるものから護ると誓ったんだ
この俺が護ると
誰にも傷つかせない
ラビが傷付かないのなら俺は甘んじて傷を負おう

「うあ゛あああ・・・
ぐがががが・・・?」

必死に足を動かしてラビの元に急ぐとクロウリーが変な事になっていた

「はれっ?おぅい、どしたぁ?」
「ふぎぎききぎぎ
がはっ、はあああっ

ぐっぞぉ・・・!!
燃料切れかぁあああ!!!」

クロウリーがのたうちまわっている間にラビの元に急ぐ
足が痛くて中々思うように歩けない

「ダメである!!!」

・・・ある?
なんか、人格変わってね?
振り返ってクロウリーを見る
顔から、狂気が抜けた気がする

「まぁ、いいか
ワケはまったく知ねェけどこっちにとっちゃチャンスさ
恨まないでね」

ラビが槌を掲げて第二解放をしようとする
今、クロウリーと話をしたら分かりあえるかもしれない!

『おい!ラビ、やめ・・・・』
「刧火灰燼・・・火判!」

クロウリーは火の竜に包まれ城の中に投げ出された

「安心せい
火加減はしといたさ」
『火加減はしといたさ、じゃない!
今、クロウリーと話せば分かりあえたかもしれないのに・・・』
「晃也!?
起きてたんさ!?
良かった・・・
それより、クロちゃんを追うさ」

ラビは俺の手をとり、槌の柄の部分に乗せる

「じゃあ、いくさ!」
『おい!ちょっわあ!』

俺の抵抗虚しく城の中に槌は伸びていった

城の中に入ると、アレンが落ちそうになっていた

「よう、アレン」
「ラビ、晃也!!」

ラビがアレンの服を掴む
重くないのか・・・?
というか、

『あ、アレン
左目治ったのか?』
「ほんとだ、開いてんじゃん」

アレンの目が開いている
でも、歯車?がついてる

「!おい、アレン、晃也
あの女・・・!?」

ラビが声を上げて、下を見る
俺も続くようにして下を向いた
そこには、顔を背けたくなる物が見えた

「アレイスター様」

エリアーデがアレイスターを抱き起こす
そのエリアーデの肩からは捕われた魂が見える
魂を見ると何故か悲しく懐かしい気持ちになる

「エエ・・・エリアーデ
何であるかそれは・・・」
「え?」
「おおお前のその・・・
体から出ているものは・・・
何なのだ・・・!?」

冥界から呼び戻された魂・・・
悲しみから呼び戻されてしまった哀れな魂

「冥界から呼び戻され
兵器のエネルギー源として拘束された"アクマの魂"・・・か?
そうなんかアレン?
すげぇぞ何で・・・オレにも見えるさ・・・?
お前の左眼の"せい"か?」

ラビにも見えてるのか・・
でも、なんで、懐かしいと思うんだ
見たこともないはずなのにこんな怖いもの見たら足が震えてくるはずなのに
愛おしい・・・等と思ってしまう

「おや、今回はこちら側でしたカv」
「アクマはこうやって造るんですヨv」


ダレか解らない声が頭の中で響く

「晃也、晃也!!
おい!晃也、目ぇ覚ますさ!」

ラビの声が聞こえる
けどその声以上に頭の中の声が響く

「今回の君は使えそうですネェv」
「君は第――使途でスv
まぁ、半分ですがネv」


まるで、昔の事を思いだしてるように鮮明に聴こえる
耳に馴染んでいる声なのにもう二度と聞きたくない声
ただ分かるのは、その声は俺にとっていいものじゃない、ということだけ
声を聞いていると頭がぐちゃぐちゃになる
あぁ頭が痛い痛い痛い
だんだん目の前から光が消えてく・・・
闇が、迫ってくる・・・
手を伸ばしても光に届かなくて
深い深い闇の中に溺れていく

「ラビ・・・助けて・・・」

最後に呟いた声は君に聴こえたのだろうか


***

「I LOVE YOU―――――!!」
『へっ!?』

意識が浮上しようとした時に大きな声が聞こえたから変な声を出してしまった
しかも、自分に言われた様な気がして
めっちゃ恥ずかしい
そんなことより!
ラビ達には多大な迷惑をかけてしまった
普通、戦闘中に気を失うか!?俺!

「晃也!起きたんですか!」
『あぁ悪い、気ぃ失っちまって
クロウリーは?』
「花の向こうで戦ってるさ
大丈夫か?晃也?
急に意識無くなったと思ったら、手ェ伸ばして助けてとか言うから心配したさ」

俺の最後の声は聞こえたらしい

ガブッ

『い゛っだぁ!
くそ、足を噛むな!なんでピンポイントで捩った所を・・・』

さっきまで気にしてなかった足が熱をもったように痛い

「晃也!花に好意を持っている人間には襲いません!」
『ぅ・・・愛してるーーー!』

スーッと花たちが離れていく

『ふぅ、離れた・・・
それにしても、クロウリー達の戦い激しいな・・・』
「えぇ、花が襲ってきてから結構たってるんですけど、全然音が鳴りやまないんです」

クロウリーはエリアーデに対して決心はついたのだろうか?
愛しい人を己の手で殺す
これほど、心に傷を負わすものは他にない

シン―――

音が鳴りやんだ
それが指すものは残酷な現実だろう

「愛してる愛してる愛してる・・・
なあ、オレらイタくねェ?」
「でも、ホラ花が噛み付いてこなくなりましたよ!」

ポツッ

雨が降ってきた
これは、エリアーデの涙なのかもしれない

『クロウリーんとこ、行くか』
「そうですね」

足取り重く俺達はクロウリーの元へ向かった

「クロウリーさん?」
「このアホ花・・・
ブス花クソ花グロ花ウンコ花ーーーー!!!」

えっ・・・

足元が消えた

「うわぁあああ!!!」
「クロちゃん何やってんだーー!!!」
『くっそ、口がガッチリ閉まってて開く気配がねぇ』
「うるさいである!!!」

クロウリーが発した言葉に顔を向ける

「私はエリアーデを壊した・・・
もう・・・
生きる気力もないである・・・」

自殺かよ!
愛しい人を亡くして悲しいのは解るが俺達を巻き込むな・・・

「さあ、私を殺せであるドアホ花ー!」
「ぎゃああああやめろボケー!!」

更に中が閉まった
立つのがきつくなってきやがった
でも、少しでも空間を広くしてラビに楽にしなければ・・・!

「落ち着いてください!!
右腕負傷してるじゃないですか」
「こんなもの・・・また、アクマの血を飲めば治るであろう・・・
はは・・・はっ
とんだ化物になったものだ私は・・・
・・・愛していたものを手に掛けてしまった
死にたい・・・」

涙を流すクロウリー
それは、本当にエリアーデを愛していた証だ
俺は、流せるのだろうか?こんな綺麗な涙を

「そんなに辛いならエクソシストになればいい
エクソシストはアクマを壊すんですよ
あなたはエリアーデという"アクマ"を壊したんです
そして、これからもアクマを壊し続ければそれがエリアーデを壊した「理由」になる
理由があれば生きられる
理由の為に生きればいいじゃないですか
あなたもまた神の使徒なんだ・・・」

アレンが言った言葉にクロウリーは涙を流し続けた



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