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「どうかしました?」
「シッ
何か、いるぞ」
「近づいてくる」

すごい勢いで近づいて来る
葉が揺れている所を通っているのだろうが、そこが揺れたと認知した時点で彼はそこにいない
厄介な相手だ

ス――――

今、何かが通り抜けた
速い、速すぎる

「何か今一瞬甘い香りが・・・」
「ぎゃぁあああああ」
「フ・・・フランツが・・・
フランツが殺られたぁぁぁ」
「出た・・・
アレイスター・クロウリーだ!!!」

俺は、吸血鬼という存在を本当は認めていなかったのかもしれない
ただの物語の登場人物、ただの空想の世界の人

「ウソだろ・・・」

そんな俺の前に吸血鬼が現れた
村人の一人が襲われているのに動く事が出来ない
それは、人が人の血を吸っているという事態に驚いているからだろうか

じゅるっっ
じゅるるるるるるる
じゅるるるるるる
るるるるるるるる

ゴクン!!

「うわ・・・
わあああ・・・ッ」
「うわああああ!!
死ぬのは嫌だぁー!!」
「うわぁああぁ」
「助けてぇ」
「逃げるなお前ら!!」

吸血鬼が血を飲んだ音を皮切りに村人達が逃げだした

吸血鬼か・・・
そもそも、イノセンスって効くのか?
とか、考えてたらラビ達もう発動しちゃってるよ

『また、はぶられたよな・・・俺』

もう、今日は傍観者に徹しようか

「どうします?」
「どうってなぁ・・・
噛まれたらリナリーに絶交されるぜ」
「とりあえず、彼にとっては大事な食事でも村人を殺させるわけにはいかない!」

張り切ってんな
ただ、思った事があるんだよな
もしアレンが言ったように村人を餌として見てるのなら、もっと前の方にいた人物を標的にすればいいんじゃねーの?
例えば、俺達3人とか村長辺りの人
それをしなかったって事は意図的にフランツって奴を狙った?
だとしたら何故?
フランツと他の村人と何が違った?
恰好・・・全員同じ恰好をしてた
顔・・・言っちゃ悪いが人並みだ
他にも違う所を捜しても見つからない
何が違う・・・
あの“人”は他の“人“と何が違う・・・?
“人”・・・?
あのフランツって奴は人なのか?

ドゴン

『うっわ!』

地面が揺れた
思考を一回浮上させてラビ達の方をみるとすごいことになっていた
とてつもなく大きくした槌を吸血鬼が歯だけで支えているなんて

「うそぉ?すげェ歯だなオイ!」

そのままクロウリーは後ろに反り返る
そのまま槌は重力に沿って倒れた

「ぐわっ」
『おい!ラビ大丈夫か!?』

俺が、ラビに気を取られているうちにアレンがクロウリーを捕まえた

「捕まえた
おとなしくしてください」
「ぐふっ
ぎゃはははははははは
あーはははははは
奇怪な童共だ
私にムダな時間を使わせるとはなあ
お前らも化け物か!ああ?」
「エクソシストです」
「こんばんは
私は忙しいんだ
放せや」

クロウリーから発っせられる殺気がすごい

ガブッ

あ、アレンの指噛まれた

「い゛っ!?」

じゅるるるるる

「わーーーアレン!!」

しかも、血を吸っている

「うげぇぇぇえぇ
苦い!!
おぅえぇええ
せっ洗面器〜〜〜〜〜」

アレンがイノセンスを解除すると、噛まれた部分が腫れ上がっていた

「絶交されるなアレン・・・」



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